美味しいほっぺにくちづけて。


空さんは、私なんかに、わざわざ電話して・・・




優しすぎるよ、空さん。




『その・・ばぁちゃんのこと聞いたよ。大丈夫か?』



 
「・・なんとか、ですかね。でも、大丈夫ですよ!寝不足ですけど、不思議と受け止められてるんです。」



空さん、聞いたんだ。
咲良さんが空さんに言ったのかな?




『泣いてないか?』




「・・・はい」



空さんは、嘘つけと、泣いていいんだと言ってくれる。
でも、本当に、涙があまり出ないんだ。


やるべきことを、おばあちゃんにやって来れたから?
ちょっと、神経が張ってるからかも知れない。



おばあちゃんの最期を見れたと、空さんに昨日のことを話す。


『小海、ばぁちゃんはおまえが帰るのを一生懸命、最後の力を振り絞って、待っていてくれたんだな。』




「・・・そうなんですかね。」



『あぁ、絶対、そうだよ。』



電話越しなのに、空さんが近くにいるみたい。



「空さん、色々、励ましてくれて、ありがとうございました。空さんがギターを弾いて、歌ってくれて、私は本当に救われたんですよ。」


空さんは“そんなことない、俺は何もしてない”と、謙遜しているみたいだった。


『今、どこにいるんた?なんか聴こえる?』



空さんは、私に聞く。


空さん、耳いいんだなぁ。

私は、携帯を耳から離して、波が聞こえるかわからないけど、空さんに届くようにと願った。
< 79 / 231 >

この作品をシェア

pagetop