美味しいほっぺにくちづけて。
空さんは、私なんかに、わざわざ電話して・・・
優しすぎるよ、空さん。
『その・・ばぁちゃんのこと聞いたよ。大丈夫か?』
「・・なんとか、ですかね。でも、大丈夫ですよ!寝不足ですけど、不思議と受け止められてるんです。」
空さん、聞いたんだ。
咲良さんが空さんに言ったのかな?
『泣いてないか?』
「・・・はい」
空さんは、嘘つけと、泣いていいんだと言ってくれる。
でも、本当に、涙があまり出ないんだ。
やるべきことを、おばあちゃんにやって来れたから?
ちょっと、神経が張ってるからかも知れない。
おばあちゃんの最期を見れたと、空さんに昨日のことを話す。
『小海、ばぁちゃんはおまえが帰るのを一生懸命、最後の力を振り絞って、待っていてくれたんだな。』
「・・・そうなんですかね。」
『あぁ、絶対、そうだよ。』
電話越しなのに、空さんが近くにいるみたい。
「空さん、色々、励ましてくれて、ありがとうございました。空さんがギターを弾いて、歌ってくれて、私は本当に救われたんですよ。」
空さんは“そんなことない、俺は何もしてない”と、謙遜しているみたいだった。
『今、どこにいるんた?なんか聴こえる?』
空さんは、私に聞く。
空さん、耳いいんだなぁ。
私は、携帯を耳から離して、波が聞こえるかわからないけど、空さんに届くようにと願った。