美味しいほっぺにくちづけて。
空さんの声は、私の涙腺を弱くするには簡単だった。



涙が溢れて、溢れて、たまんなかった。



おばあちゃんの想い、おばあちゃんと過ごした宝物みたいな日々・・・



幾つもの、かけがえのない日々・・・






「・・・・・やっぱり、寂しいなぁ。」





あんなに、泣かずに済んだのに、今になって、涙が溢れてくるなんて・・・




「おまえが、頑張ったのは分かってるから、小海の気持ち、ばぁちゃんにちゃんと伝わってるよ。」




再び、空さんの温かい掌に撫でられる私。


なんで、空さんは私の手を握ってくれるの?


でも、ホッとする。


心の中に、踏み込まれた気持ちになる。
けど、全然、嫌じゃなくて、寧ろ、私も、手を広がている。




「今だけ、こうしていいか?」



駅に行き交う人々は、もうまばらになっていた。
私は、ひどい顔をして泣いてるだろう・・・空さんに、酷い顔を見られても構わないような、気がしている。




「えっっ、そ、空さん?」


空さんは、私をゆっくりと抱きしめてくれたんだ。





「からからってねぇから、言っとくけど。」




「きゃ〜〜」


訳のわからない鼓動が聴こえてくる。
これは、私の音なのか?


空さんに、抱きしめられているって、きゃ〜だよ!



しばらくしてから、



空さんは、私の手を摂った。

私は、驚いて、空さんの顔を見ると、空さんは、私を見て、穏やかに笑っている。


空さんの温かい手が、私の頬に流る泪の雫をそっと、拭いてくれる。





「空さん、すっとこどっこいって何ですか?」




空さんは、何も言わず、もう一度、

 


「辞書を引け、辞書を。」




私を、優しく抱きしめてくれた。


心臓がもたないかも。




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