美味しいほっぺにくちづけて。
空さんが車を停めてある駐車場まで行くと、空さんの車を見て、お父さんと一緒だったのに、驚いた。




白い、ボックス型の車に空さんが乗ったので、私も躊躇しながら、おじゃましますと言って乗ると、空さんに笑われた。




「くく、おじゃましますって礼儀正しいな、小海。」




「だって、緊張しないほうがおかしいですよ。」




空さんは、車にカギを差し込み、エンジンをかけると、車を出発させた。




空さんの車の中は、いい匂いがする。




行き先は、もう分かっているから、何も言わず、空さんは車を走らせていた。



運転している横顔を見たくて、ちらっと見ると、今更ながら、空さんは、二重なんだなぁ、とか、髪色も柔らかそうだな、とか、空さんを見てしまった。



・・・・なんて、かっこいいんだろう。



ん?

かっこいい?
自然と口にしてしまった。





「小海、あんま見んな。」






「すいません!つい、見惚れちゃって・・・」





ん?


見惚れちゃってー・・・・・?




きゃ〜



私は、自分の頬に両手をやると、少し火照ってるのがわかった。




どうして、空さんは空さんなの?





「まったく、おまえってすっとこどっこいだよ・・・」




その仕草の私をちらっと見た空さんの耳も少し赤かった。



空さんと私は、いったい何なんだろう・・・・




商店街の言わばファミリーみたいなものだけど、




空さんは、私なんか興味ない?



私を心配してくれるけど、それは『妹』とか、そうゆう事?



空さんの、心の声が聞きたくなった。




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