もういいんだよ…。
❁二章
帰省ラッシュで忙しい時期になりました。
海外から帰ってくるお客様が大勢で私はいつも帰りが遅い。
深夜まで働く時もある。
今日も退勤時間を見ると…
「0時回っちゃった…」
今日はタクシーで帰るしかないかも。
そう思いながら空港の従業員の裏口から出ると、
「梨杏。お疲れ。」
とひょっこり笑顔で陸玖が私に近付いてきた。
「陸玖…いつも良いのに…悪いよ…。」
私が俯くと、
「俺はいつも定時に終わるし、車も運転できるし、それに梨杏女の子なんだし心配。」
そうやっていつも笑う陸玖。
ねぇ、陸玖?
その笑顔は本当の笑顔ですか?