甘やかな螺旋のゆりかご
3・ヒギリ
*3・ヒギリ*


――――――――――――――――――――




それはきっと、


わたしが産まれる前、胎児だった頃から守ってくれていたのだと思う。


その、自分だって小さかった身体で。その小さかった腕や掌を裂けるほどに伸ばしてのことだったのだと確信する。そして、わたしを包み込むとき、その手は限りなく優しいものへと変身する。


わたしだけのヒーロー。わたしの唯一な彼は、わたしを白雪姫みたいだと言ってくれていた。くすぐったい記憶だ。


彼が、当然だとしていたその行為は、けれど幼い身体と心には重責だっただろう。




だから、彼は壊れてしまったのだ。




わたしはそれを守れていたんだろうか。


多少の自負はあるけれど……。


彼より幼いわたしでは、たかが知れている。




わたしがいてくれたのはこの世の幸いなのだと、言うものだから、わたしがいなかったら自分も生きていなかったと涙するものだから。




だからわたしは離れられない――


――と、彼のせいにし、






わたしは彼を愛するんだ。





< 17 / 60 >

この作品をシェア

pagetop