あと少しの恋
「北川」
「はい?」
「仕事は?」
「今やります」
振り返れば鬼の形相の由貴さんがいた
そして大量のファイルをデスクに置く
「あららごめんね鈴」
「いいよいいよ今やるから」
私が手をファイルの上に置いてしまった反動でファイルが音をたてて崩れる
「あっ···」
慌てて拾いあげるが最後のファイルが踏まれる寸前だった
「あっぶねぇ」
拾いあげたのは希瀬さんだった
「あっありがとうございます」
「少しは気をつけろよ」
「でもなんでここに?」
「たまたま荷物を届けに来ただけ」
「そっか」
希瀬さんは金髪に染めた短い髪だが人なっこい笑顔が意外にも定評がある
「じゃあな」
またぽんぽんと頭を撫でて行ってしまう
それを見て由貴さんがため息をつく
「北川ちょっと来て」
私は腕を引っ張られずるずると廊下の端に移動させられた
「なんですか?」
私は由貴さんに訊いてみる
由貴さんは剣幕もそのままに私を壁際に追いつめて壁に手をついた
「希瀬とはどういう関係?」
「えっ···?」
「えっじゃない」
「別に普通ですよ」
「わりぃ義兄貴、ハンコ忘れたからくれない?」
割って入ってきたのは希瀬さんだ
「空気読めないのか?」
「俺は仕事中」
にへへと笑う希瀬さんは一歩も譲らない
「ありがとうございます」
「なにが?荷物届けて印鑑もらい忘れたら怒られんの俺だし」
「ったくおまえは」
由貴さんはため息をつきながら希瀬さんの伝票に印を押す
「サンキュー」
「希瀬、昼飯どうだ?」
「悪い遠慮する義兄貴と食ってもまずそだから
鈴、後で電話すっから」
じゃなと言って希瀬さんは行ってしまう
お昼までみっちり由貴さんにしごかれ大量のファイルは半分になっていた
昼休みやっとゆっくりできると思っていたら携帯が鳴った
「今、下にいる降りてこい」
希瀬さんからだった
オフィスビルのエントランスには希瀬さんが作業服のまま立っていた
「希瀬さん」
「腹ヘったから行くぞ」
そのままずるずると希瀬さんにひきずられるように歩いて駅前の牛丼屋に着いた
なにが悲しくて牛丼なんて
もっとお洒落なランチがいいな
「あっ私お昼食べちゃったんですよ」
こんな嘘なんて通用するはずもなくカウンターに着くなり牛丼が2つ運ばれてきた
「いただきます」
隣でガツガツ食べる希瀬さんは男らしい
「悪かったなこんなんで」
「あっいえ」
「義兄貴はあんなもんだぞ本当に冷たい男」
「でも···」
「好きなんだろ」
「はい?」
「仕事は?」
「今やります」
振り返れば鬼の形相の由貴さんがいた
そして大量のファイルをデスクに置く
「あららごめんね鈴」
「いいよいいよ今やるから」
私が手をファイルの上に置いてしまった反動でファイルが音をたてて崩れる
「あっ···」
慌てて拾いあげるが最後のファイルが踏まれる寸前だった
「あっぶねぇ」
拾いあげたのは希瀬さんだった
「あっありがとうございます」
「少しは気をつけろよ」
「でもなんでここに?」
「たまたま荷物を届けに来ただけ」
「そっか」
希瀬さんは金髪に染めた短い髪だが人なっこい笑顔が意外にも定評がある
「じゃあな」
またぽんぽんと頭を撫でて行ってしまう
それを見て由貴さんがため息をつく
「北川ちょっと来て」
私は腕を引っ張られずるずると廊下の端に移動させられた
「なんですか?」
私は由貴さんに訊いてみる
由貴さんは剣幕もそのままに私を壁際に追いつめて壁に手をついた
「希瀬とはどういう関係?」
「えっ···?」
「えっじゃない」
「別に普通ですよ」
「わりぃ義兄貴、ハンコ忘れたからくれない?」
割って入ってきたのは希瀬さんだ
「空気読めないのか?」
「俺は仕事中」
にへへと笑う希瀬さんは一歩も譲らない
「ありがとうございます」
「なにが?荷物届けて印鑑もらい忘れたら怒られんの俺だし」
「ったくおまえは」
由貴さんはため息をつきながら希瀬さんの伝票に印を押す
「サンキュー」
「希瀬、昼飯どうだ?」
「悪い遠慮する義兄貴と食ってもまずそだから
鈴、後で電話すっから」
じゃなと言って希瀬さんは行ってしまう
お昼までみっちり由貴さんにしごかれ大量のファイルは半分になっていた
昼休みやっとゆっくりできると思っていたら携帯が鳴った
「今、下にいる降りてこい」
希瀬さんからだった
オフィスビルのエントランスには希瀬さんが作業服のまま立っていた
「希瀬さん」
「腹ヘったから行くぞ」
そのままずるずると希瀬さんにひきずられるように歩いて駅前の牛丼屋に着いた
なにが悲しくて牛丼なんて
もっとお洒落なランチがいいな
「あっ私お昼食べちゃったんですよ」
こんな嘘なんて通用するはずもなくカウンターに着くなり牛丼が2つ運ばれてきた
「いただきます」
隣でガツガツ食べる希瀬さんは男らしい
「悪かったなこんなんで」
「あっいえ」
「義兄貴はあんなもんだぞ本当に冷たい男」
「でも···」
「好きなんだろ」