あと少しの恋
「うっ···」
「なら俺はお邪魔虫なわけだ
なら携帯の履歴消しとけ
仕事戻るからじゃな」
「あっ···
希瀬さんごちそうさまです」
にっと笑って希瀬さんは行ってしまい私は残りの牛丼を片づけて仕事場に戻った
「鈴、捜したよ」
オフィスのトイレで美沙が声をかけてきた
「ごめん」
歯を磨きながら謝る
「どうしたの?
彼氏とご飯だったんでしょ?喧嘩でもした?」
「んん本当になんでもないから」
私は急いで歯磨きを済ませて仕事に戻った
由貴さんが相変わらず居座っていた
「もういい加減にしてください」
私はバンとファイルを叩いた
「希瀬になんか言われた?」
「別になんでもないです
私コーヒーいれてきます」
私は給湯室に急いで行って携帯を開いた
希瀬さんの電話番号をどうしようかと悩んでいると携帯が鳴った
「もしもし」
「まだ悩んでんのかよ」
「希瀬さん仕事中じゃ?」
「おまえに関係ないだろ
たいしたことじゃねぇんだよマジで
忘れろよ俺のこと
じゃあな」
一方的にきられた電話
私はしばらく動けないでいると由貴さんが息をきらしてやってきた
「どうしたんですか?」
「希瀬が事故ったらしい
俺は帰るから後、やっとけよ」
希瀬さんが事故···
私は言葉を失い携帯は床を滑る
「大丈夫なんですか?」
「たいしたことはないみたいだ
おまえこそ大丈夫か?
顔真っ青だぞ」
「あっはい大丈夫です」
私は平然を装ってコーヒーをいれて仕事に戻った
でもやっぱり気になってぜんぜん手につかない
「りん今日はもうあがんなよ顔色悪いよ」
隣のデスクの美沙がウインクしながら残りのファイルを受け取ってくれる
「ありがと~この埋め合わせはちゃんとするから」
ぱんと顔の前で手をあわせ急いでタイムカードを押して走りだした
オフィスビルの前でタクシーをひろって急いで携帯を取り出した
でも誰にかければ···
本当あたしってバカ···
由貴さんにかけたら怒られるしかといって希瀬さん??
悩んだ挙げ句に希瀬さんに電話をした
「もしもし」
電話に出たのは由貴さんでそりゃそうだよね
「ごめんなさいあたし」
「仕事サボったな」
「そんなつもりじゃないんです」
私は精一杯、謝った
「罰が必要だよな」
「···」
「希瀬より俺の方がよくなる魔法かけてやる」
とくんと心臓の音が聞こえてしまうんじゃないかと思うほど私の心臓は高鳴っていた
「お姉さんどちらまで?」
あっそうだった
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