あと少しの恋
「笑うなんて···」
「ったくなにやったんだよおまえ」
ぽんぽんと頭を撫でてくれる癖
私は希瀬さんに抱きついていた
「希瀬さん」
「とりあえず顔洗ってこいよ待っててやるから」
私はいったん離れてトイレに向かった
「もしも~しバカ義兄貴」
「希瀬おまえいまどこだ?」
「可愛い子羊ちゃんが泣きついてきましたがなんかしたのか?」
「別に
おまえこそなんでここにいるんだよ」
「義兄貴は本当にバカ
俺が聞こえてないとでも思ってた?」
鈴がかけてきたので通話をきった
「さてと家まで送る」
「そんな悪いです」
「別に」
「希瀬さんお腹すいちゃいました」
「はっ?義兄貴と食ったんじゃないのか?」
「いえ」
ため息まじりに希瀬さんは固定されてる腕とは反対の腕でタクシーを呼んでくれた
そのまま家まで送ってくれるのかと思えば近くのファミレスでいったん降りた
私にしたらやっぱりこういうところが落ちついたりする
食事よりもデザートとのドリンクセットを頼み希瀬さんはコーヒーを飲んでいる
「希瀬さん」
「希瀬でいいなんか気持ち悪りぃその呼び方」
「希瀬···さん」
「おまえなぁ」
額を指ではじかれて立ちあがった希瀬さんに声をかけた
「私、飲み物とってきます」
「いいよ別に」
「でも···」
「本当おまえってわかりやすいな」
「えっ?」
「しゅんとしたり笑ったり忙しい奴
まっキライじゃねぇけどな
んで何飲むんだよ?」
「あっえっとアイスティーで」
「はいよ」
希瀬さんが戻るまで私はデザートを堪能していた
「ほらよ」
「ありがとうございます
でもなんでそんな大怪我」
「たいしたことじゃねぇよ
ただ荷物が落ちてきただけ」
「希瀬さんって宅配便のお兄さんなんですね」
「まあな」
「あの今日はありがとうございました」
「つーか敬語やめろ

「あっはいでも癖なんです」
「あーそなら百歩ゆずってやるキスしろよここで」
「はい?」
今なんていいました?と聞き返そうとしたが早く希瀬さんのほうに顔を引き寄せられチュッと音がした
それでも飽きたりないのか口腔を舌でなぞるキス
「んっ···」
「可愛いなおまえ」
「かわいくなんてめっそうもないでありますですはい」
テンパるあまり言葉がおかしくなる
「なんだよそれ」
希瀬さんの笑顔ってやっぱり素敵
でも大好きとは言えない
「あっ···あの」
「義兄貴のことまだ好きなんだろ?」
「反則ですそんな聞き方」
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