不良GIRL と マジメBOY


「あ、ごめん」


後ろを振り返るとそれは男子だった。


でも、誰?

見たことがない顔だなとあたしがじっとその男を見つめていると
男はあたしの方を見て、

「悪ぃ・・・・」


一言小さな声で謝った後、一番前の窓際の席の方に行ってしまった。


このクラスにあんな人いたっけ?と
必死に自分の記憶を探っても見覚えがない。


「あの人誰?」


「あぁ、あの人ね・・・・ってひかる知らないの!?」


たんたんと説明してくれると思いきや、
突然形相を変えてあたしに詰め寄るミサ。


「え、あ、うん。知らないけど・・・・」


あたしは、ミサの気迫にうろたえながらも
正直に応えた。


「ハァ・・・・あんたさ、学年で一番成績優秀の人ぐらい覚えなよ~」


いや、知らないもんは知らないし・・・・。

それに別に成績優秀だからといって、
興味が湧くわけでもないんだから。


と、あたしは心の中で開き直った。


「あの人は松田頼人だよ。で、同じクラスメートね」


「ま、覚えときなよ。これで顔見知り増えたでしょ」


ミサは笑ってそう言ったけど、
別に覚えてても何かいいことがあるのかな。


あたしは周りと違ってひねくれ者だからしょうがないか。


それでも一応のため、
あたしは松田頼人という名前を覚えておくことにした。


この時のあたしは想像もつかないだろう。

これが全てのはじまりのきっかけだったってことをー・・・・・



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