今、わたしに会いに行く。
ーーー顔の上に置いてあった雑誌がバサッと、大きく音をたてて落ちた。
「、、、寝ちゃってたのか」
窓の外を見るともう月が出ていた。
仕事から帰宅して寝た、ようなので
昼寝にしては、、、少々寝すぎた気もしなくはない。
それにしても、
懐かしい夢をみたものだ。
「春くん、、、ね。」
ここ十数年思い出すこともなかった、いわゆる“初恋の君“名前を呟くと、
、、、なんともいえない、苦い感覚が胸に広がった。
その決して心地よいとはいえない感覚をふりはらいたくて、起き上がろうとした瞬間、
「え」
ベッドに付いた手から
グシャッと嫌なおとがした。
おそるおそる手元を見ると自分で落とした雑誌にシワがよっていた。
「ああー!!借り物なのに!!」
もとに戻るかな、、、とぼやきながら慌ててシワを伸ばそうとして、手を止めた。
雑誌は色とりどりの美しいウェディングドレスのページを開いていた。
、、、幸福で一杯の花嫁を美しく彩るはずのドレスが私にはただの布切れにしか見えなかった。