Underwater
「おい達也(たつや)!」
僕の名前は坂本達也。
いきなり後ろから肩を掴まれて
少し腹が立ったが、
振り向いた先には中学からの友人、山崎隼(しゅん)が立っていた。
隼は明るめの茶髪で制服はだらっと着ているいわゆるチャラ男だ。
黒髪で規定のカーディガンを着る僕とは一見真逆のようなタイプだが、中身は意外と趣味は読書であったり学力テストでは上位をキープしていたりする。
まぁ、女の子が好きなのは見た目通りだけど。
満面の笑みで小さく右手をあげる親友の姿を見つけて
なんだか可笑しくなってしまった。
「おぉ!隼(しゅん)か。脅かすなよ」
「いやいや、女子の水着姿ガン見してる達也のほうが脅かしてるから!ヤバイ奴だから!」
隼にほっぺたを掴まれ
プールサイドを見るようにうながされると
五時限目の授業を受けるスクール水着のJK達がこちらを睨んで耳打ちしていた。
「いやっ、あの、覗いてたんじゃ、、あの、、、失礼しましたっ、、おい!隼行くぞっ!」
くそぅ!
顔から火がでるように暑い!
耳まで真っ赤になっているのが鏡を見なくても分かる。
女子達から嫌悪感たっぷりの視線を浴びて逃げだす僕に腕をひかれ、吹き出す親友。
「ばいばーい」
もう片方の腕で女子達に手を振っている。
僕「ただでさえモテないのに今のでだいぶ引かれたよね。来年は受験でみんな忙しくなるから、彼女作るチャンスはもぅ今年だけなのに、、、」
隼「今のはヤバイなぁ、、、いっそ他校の女の子と合コンしちゃう?」
「合コンに隼は行かないよねー?」
わざとらしい猫なで声に怒りの表情。
仁王立ちで立っているのは隼の彼女、小向愛梨(こむかい あいり)だった。