Underwater
「あ、愛梨..ちゃん!!
あ、当たり前だろぉー俺は中学からずっと愛梨一筋に決まってるだろぉー」
あからさまに動揺している隼の高い鼻をつまんで愛梨はため息をつく。
「もぅ、こんなに可愛い彼女が居るのにどーしてあんたはよそ見ばっかりするのよぉ、、」
ナルシスト達もびっくりの大胆発言は愛梨の冗談なのだけれど、
健康的に日焼けし細く引き締まった手脚に小さな顔は
ファッション雑誌のモデルのようなので
彼女の事を知らない人間が聞けば
冗談には聞こえないだろう。
隼の彼女なだけあって、
見た目はギャル系、
制服のスカートは短めでいつもつけまつげをパサパサしている。
愛梨も外見とは違い勉強は得意な方で隼に対して一途だ。
誰が見てもお似合いのカップルで
僕はこの2人を見て余計に彼女が欲しいと思うようになったのだ。
隼と愛梨のいつもの痴話喧嘩をぼーっと見ていると
五時限目の予鈴が鳴った。
「ちょっと3人とも!!授業はじまっちゃうよ!!
たっちゃんは教科書持ってきてないし!!」
僕をたっちゃんと呼ぶのは
幼馴染の藤堂香澄(とうどう かすみ)。
「香澄こそ筆記用具はどーしたんだよ?」
香澄は保育園からずっと一緒で、
自分が1番おっちょこちょいなくせに
人の世話をしたがる。
「ああぁー!!たっちゃん教科書見せてあげるから筆記用具貸して?」
丸い目をくるっとさせながらもぅひらきなおっている。
「そうだな。 気になったんだけど香澄ってどっから出てき、、」
「早く!!遅れちゃうよ!!」
言葉を遮られたまま僕達は走って移動教室に向かった。
3人は中学から一緒だったこともあって
高校になり同じクラスになったので行動を共にしている。
裏表のない奴らだから、一緒にいても全然疲れない。
2年連続でみんな同じクラスになれたのはラッキーだ。
なんとか僕達は授業に間に合いほっと胸を撫で下ろした。