アリスの風
「青柳さん。
僕、アリスの事を勘違いしてたよ。
アリスは心が透き通ってて優しい子だね。」

今日は青柳さんは泣いてなかった。
明るく何にも悩みがないほど笑っていた。

「アリスは良い子だね。
素直で可愛い子だね。」

「それに比べて僕は
ひねくれ者だから・・・。」

君がとても可愛く君の毛と同じくらい白いから、
その分僕は透明だけど黒く汚い色が浮かび上がる。


僕は周りを憎んで生きているのかな、
僕は皆が嫌いなのかな。


そしたら僕は淋しい生き物だよ。
あっ・僕は本当は生きてないはずなんだ。

硝子は生きていないんだ。



「青柳さん。
僕ね、いつの間にかアリスが好きになっちゃったみたい。
凄くアリスがいとおしいの。
やっぱりこれって恋かな?」


青柳さんが僕に囁いてくれた。

涼しい空の波と共に

“うん、きっとそうだよ”


えっ・・・

初めて青柳さんが僕と喋ってくれた。


ありがとう、ありがとう。

ありがとう!


僕は心で呟いた。

この言葉をむやみに口に出すには
重すぎるから。

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