アリスの風
「あっ、あったあった。」

お母さんがようやく戻って来た。
手には接着剤。

お母さんは折れた耳をくっつけてくれるみたい。


「よし、今からくっつけてあげるね。」


お母さんが僕に触れた時、
僕の身体が揺れて出窓から少し身体が前に出た。

それから僕の目線が突然低くなる。

次の瞬間、


ガシャンッ


何かが割れた気がした。

最初は理解が出来なかった。


それから僕の身体の半分が
僕の目の前にある。

「・・・僕、割れちゃったの?」

痛みは何にもなかった。


後に心の涙が流れ出た。

僕が落ちた所はアリスの飲み水場だった。


僕ってあっけなく死んじゃうんだ。

僕こんなんで死んじゃうんだ。


君に好きって言いたかったよ。


硝子だから、硝子の兎だから

言える訳ないけどね。

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