アリスの風
アリスが心配そうに
僕の顔を覗く。

僕は恐怖で顔がひきつっている。

・・・僕、死ぬのは怖い。

だって僕の事を誰も覚えてくれないもん。

僕がいなくなっても皆忘れる。
僕の話なんかしない。


そんなんじゃ死にたくないよ。



だけどこんなに割れちゃったら
しょうがないよ。

僕は硝子だから割れるのは
しょうがない事なんだ。



僕は行く。

広い世界へ。




だけど僕は君に「好き」と言えなかった事が

心残り。


だから僕は今度は風になって、

君に「好き」って伝えるね。


そしたら君も返事を下さい。

僕の風で運んであげるから。


僕は君の、

アリスの風になる。

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