【番外編】 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
タイムは少々緊張した顔で、ほぼ勢いに任せて言葉を紡ぐ。


「あああの!ふ、普段は何なされてるんですか!?」


其処まで噛まなくてもいいだろう。俺は偉人でも、有名人でもない。
俺は苦笑いに近い表情を浮かべると、溜息を吐きつつ後頭部を右手で掻いた。

普段何をしているか...正直に言おう。答えられるわけ無いだろ。
其れともタイムはそういう答えを望んでいるのか。

毎日人を殺す事が日課です...なんて誰が聞きたいんだよ。
少なくとも俺は聞きたくない。


「あっ、答えづらかったですか!?で、では!質問を変えます!!ご、御趣味は!?」


だから何でそんなに緊張しているんだ。
このまま女に気を使わせるのも、男としての名が廃れる。
俺は会話に続けることを決意した。


「...な、ナイフを、研ぐこと。」


タイムの顔が明るい笑顔になった。


「凄いですね!!ナイフ研がれているんですか!?」

「いや、凄い事じゃねぇーぞ...。」


タイムの顔をよく見ると、目元に隈が出来ていた。
嗚呼、此奴は無理をしているんだな。
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