【番外編】 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
ケビンの頭を撫で終えると、俺はケビンの頬を両手で包んだ。
ケビンの顔を見つめる。
ケビンは慣れた表情で俺を見つめた。


“タイムには重ねてないさ...けど、お前は違う。お前だけは...。”

“解ってる。だからそんな顔しないで、”


そう言って俺の手を下ろしたケビンは、暗闇の中に溶けてなくなった。
俺の体も徐々に暗闇の中に溶けだしていった。

顔を上にあげ、瞳を閉じる。
自分でも何で、感傷的になっているのか解らない。
正義の味方でも無く、何かを救える技術も無い。だからと言ってそんな感情があるのかと言われれば、答えはNOだ。
でも、目の前で苦しまれるよりはこの手で、終わらせてやる方がずっといい気がする。

俺がその命の輝きを消しさってあげよう。
なんだって俺は...



殺人鬼なのだから...。
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