【番外編】 Sicario ～哀しみに囚われた殺人鬼達～
意識が戻ると、何故か体が痺れていた。
体の末端が上手く動かす事が出来ない、これはディーブのスタンガンか。大層な物使ってくれたな。

如何やら此処は、俺の部屋のようだ。
何で部屋にいるんだ、そう言えば病院前からの記憶が無い。
ケビンと何かを話したような気もするが、何も覚えていない。
覚えていないということがこんなにも、不愉快なものとは思わなかった。

其れより、依頼は如何なったんだ。俺はどれくらい眠っていたんだ。
此処にいても何も解らない、取り敢えず部屋を出て状況を把握しなくては...。
俺はベッドから立ち上がると、ドアへ向かいドアノブを掴んだ。

だが、俺の力ではなく別の誰かの力によって、ドアが開かれた。
内側に開くこのドアは見事に俺の額に直撃した。


｢あ、起きてたの?｣


ドアを開いた人物はギフトだった。
悪気の無い声色で、謝罪の言葉も無かった。
痛む額を押さえながら、俺は文句の1つでも言ってやろうかと顔をあげた。

しかし其処に立っていたのは、お化け屋敷の方がまだ可愛気があると思える化け物だった。
肉は腐り果てており、骨が剥き出しだ。目玉はあるべき場所から、飛び出て神経が辛うじて目玉を繋げている。

気が付けば床には一面を覆い尽くす程の虫が這っていた。
何だよ...これは。


｢元に戻ったのかい?｣


ギフトの声をした化け物は、俺に手を差し伸べる。
何が如何なっているのか、訳が解らない。


｢止めろ...俺に近づくんじゃねぇーよｯ!!お前誰なんだよ!?何、ギフトの真似してやがんだよ!!｣


化け物が少し悲しそうな顔をしたように見えた。
何でそんな哀れむような目で、俺を見ているんだ。
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