【番外編】 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
目的地...ノーリスト街先にある小さな丘だ。此処からはノーリスト街を一望出来る、貧民街など見渡しても得する事など何1つ無いがな。
ドールがタイムを降ろす。


「じゃー、ボクは離れた所にいるね〜。終わったら呼んでよ。」

「解った...。」

「運んで頂いて、ありがとう御座いました。」


タイムはドールに一礼した。ドールは笑顔で手を振って、行ってしまった。
2人だけになる...沈黙も共に訪れた。
ポケットの中のナイフを握る。


「此処で...死ぬんですね。」


沈黙を破ったのはタイムだ、俺はタイムを横目に見ると肯定の一言を告げる。
哀しい笑顔を浮かべて、タイムは言葉を紡ぎ始めた。


「あっという間なんでしょう...死ぬということは。悔いが無いと言ったら嘘になります、ですがどの道悔いは残るんでしょうね。」

「...俺も、悔いがあった。」


タイムが不思議そうに俺を見る。


「その言い方だと、まるで死んだ事があるみたいじゃないですか。」


当然のように俺は口を開いた。


「あるぜ...。死んだ事。」

「え、じゃ、何で...?」

「俺にも解んねぇー、だが生前の事ははっきり覚えてる。」


硬い笑みをタイムは俺に送った。
信じられないのだろう、当たり前か...。
< 34 / 92 >

この作品をシェア

pagetop