【番外編】 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
何でこんな事話してんだろうな、もうすぐタイムが死ぬからか。きっとそうだ、そうで無いと辻褄が合わない。


「私も...い、生き返れます、か?」


震えた声でタイムが問う。
俺に解るわけ無いだろう、俺はきっと偶然でこうなっただけだ。


「知らねぇーよ。」

「...そう、ですよね...。」


タイムが俺の服の裾を引っ張る、ディーブみたいな事するなと少し思った。


「何だ?」

「さっき、運んでくれた人が言ったから解っちゃったと思いますけど...」


タイムが口篭る。
嗚呼、あの事か...俺も驚いたな、まさか俺なんかに惚れるなんてな。
タイムが口を開くまで、黙って待った。


「...あの、こういうの...初めてで、」


タイムの手が震えている、見ていればそんな事解る。


「あ、あの...す、好き...です。」


たどたどしくタイムはそう言った。
顔が赤い、良く見れば耳まで赤くなっている。
俺はタイムの頬に手を添え、微笑んだ。


「あぁ、ありがとうな。...よりによって俺なんかに惚れるなんてよ。」

「凄くいい人です!そんな悲しい事言わないで下さい!!」


良い人か...初めて言われたな、そんな言葉。
言われるような事なんて何1つ無いやっていないが。
なんせ俺は“殺人鬼”だぜ...良い人って言われる方が、おかしいだろ。
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