【番外編】 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
ドールは丘のふもとに座っていた。俺を見て、口元の血を見るとニヤついた。


「あの子の味は如何だった?」

「...悪くなかったぜ。」


ドールは俺の言葉を聞くと、鼻で笑って立ち上がった。


「帰ろう。」


俺に笑みを投げかける。
突然頭が割るように痛くなった、余りの痛さに俺は頭を抱え、その場にうずくまった。


「...如何したの?」


ドールの心配そうな声が上から聞こえた。
ディーブの言っていた“薬”の効果がきれたのか...タイミング良すぎじゃないか。


「あ゙...あぁ゙、う...ゔぁ、」


嗚咽が漏れる。
痛い...痛い、なんだ...こ、れ?
あと帰るだけじゃないか、何で今なんだ...。

今まで地面を覆っていただけの醜い虫が、俺の体を登ってくる。
もう、俺の頭はパニック状態になっていた。


「止めろッ!!あぁあ゙ぁあぁ゙!!!」

「ちょ...セルリア!」


ドールが俺の肩を掴む、ドールの手についている虫が此方に移動してくる。皮膚も腐れていく。
ドールの顔が前より酷い、顔は腐れ爛れており、蛆が湧いている。


「止めろッ!!止めろッ!!!化け物!!俺に触るな!!!腐れるッ!俺が腐れていくッ!!」

「何言ってるんだよ、セルリア!どこも腐れてないよ!!」


ドールが俺の肩を揺さぶる。
もう現実が解らなくなっていた。
< 39 / 92 >

この作品をシェア

pagetop