【番外編】 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
side:ドール
突然セルリアが変なことを言い始めた。
腐れるとか化け物とか...そんなもの何処にもいないのに。

もしかして、これが兄さんの言っていた“幻覚症状”ってやつなのかな。
いくら声をかけても、セルリアは叫ぶばかりだ。


「...殺しちゃ、ダメだったよね...兄さん。」


ボクは自分にそう言い聞かせた、下手したらボクはなんでも“壊しちゃう”からね。
兄さんがちゃんとボクのすべき事を教えてくれたから、ボクは大丈夫、きっと大丈夫。


「虫が!!止めろッ!俺から離れろッ!!!」


暴れるセルリアを無理矢理力で押さえ込む、誤って肩を砕かないように気を付けなければ...。


「如何やって、連れて帰ろう...。」


首を絞めて意識を奪えばいいの、其れとも動けなくなるまでボロボロにすればいいの。


「化け物めッ!!離せよッ!!!」

「...五月蝿いな、今考えてるでしょッ!!」


ボクはセルリアの首を絞めた。
小さな嗚咽が聞こえる、さっきよりも大人しくなった。

なんだ...絞めちゃえばよかったのか、このまま意識が無くなるまでずっと、ずっとね。
セルリアの顔が赤くなる、セルリアは美人さんだから、涙目になりながら赤くなっているこの表情は、たまらないね。

興奮しちゃうじゃん...。


「頑張れ、頑張れ。死んだらダメだよ。」


殺したら兄さんに、嫌われるでしょ...。
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