【番外編】 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
バスルームに辿り着くまでは、何も問題は無い。
だが、問題はこれからだ...いくら13歳とはいえ、ぼくは“男”だ。
解剖ではまだ大丈夫だ、其処はちゃんと割り切れるのだけれど、生きている女の人は駄目だ。

ぼくが頭を悩ませていると、ベティは前置きも無く服を脱ぎ始めた。


「ちょ...」

「服脱がなきゃいけないんでしょ、何で慌てているの?」

「ぼ、ぼくも...男だから。」


照れ臭いぼくをベティは少し鼻で笑った。


「私は気にしないよ。水の節約の為に弟と一緒に入ってたから。」


そう言う事では無い...、僕の気持ちの問題なんだ。
ぼくがあたふたしている間に、ギフトがベティの着替えを持って来た。
ノックを2回すると、ギフトが少しだけ扉を開けた。


「着替え下に置いとくからね。」


それだけ言って去ろうとするギフトを、小さな隙間に手を差し込んで止めた。
若干腕挟まれて痛い。
ギフトが子声で囁く。


「一体なんだよ。」

「ぼくを、此処に置いて行く気...」

「...あ、そう言う事。そう言えばディーブは年頃だったね。」

「...ぼくに、殺されたいの...?」


苦笑を浮かべつつギフトは謝罪の言葉を述べた。
ベティが不思議そうに、僕の方を見ている。
ギフトが軽く説明をすると、ぼくをバスルームから解放してくれた。
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