【番外編】 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
リビングに辿り着くと、ベティが嘔吐した床にタオルが敷かれていた。
ソファーにはセルリアが横になっている、ギフトに僕を降ろすように言うとすぐ降ろしてくれた。
降ろされたぼくは、ソファーに横になっているセルリアの元へ駆けた。

セルリアの隣に立つと、疲れ切っているセルリアの胴体を揺らした。
面倒臭そうにぼくへ視線を寄越した。


「なんだ...ディーブか。」

「処理お疲れ...」

「おう、...まさか吐くなんて思わなかった。そう言えばお前、あの女とバスルーム行ったんだろ。如何だった?」


途端にセルリアが元気になった。
僕の気も知らないで...ぼくは眉間に皺を寄せた。
そしてセルリアの右側の長い髪の毛を思いっ切り引っ張った。
セルリアがぼくに引っ張らないように懇願してきた、その言葉を聞いてぼくは髪を引っ張ることを止めた。


「あぁ...悪かったよ。お前苦手だったな...。」

「...うん。」

「そんな泣きそうな顔するなって。」


セルリアは僕の腕を引くと、自身の胸の上に寝かせた。
セルリアの胸板は厚くはないが、筋肉がしっかりと付いていて硬い。だけど、其れが不思議と落ち着く。
セルリアがぼくの頭を撫でる。

ぼくは『Sicario』の皆から、頭をよく撫でられるのだが何故だろう。其れ程気になる事でもないので、聞く必要も無いけど...。
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