【番外編】 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
「通り名はギフトが言った通り『血塗れた芸術家』だ。殺し方は既に見てんだろ、この女が。
俺も何度か其の『作品』を見た事があるけど、何が良いのか良く解んねぇーが。
奴は死体を『作品』にする事にこだわる、更に人目に付きやすい場所に『作品』を置いている。
最近新聞にも載ってるだろ。」

「出やすい場所とか知らないの?」

「んな事言われてもなー。確か、貧困街によく出るって聞いたな...。」

「...一致したね。」


ベティが住んでいる場所、そしてベティの弟が殺された場所と...。
ギフトの目が細くなり口角が上がる、セルリアは楽しそうに頬を緩ませた。
ドールは相変わらずギフトに張り付いて、静かに笑った。
ベティはその様子を不気味と言いた気な顔で、見ていた。不気味と言うより、怖がっているようだ。


「其れだけあれば充分だよ。で...今回は誰が殺る?」

「...ぼくが、」


視線がぼくに集まる。
普段は進んでこんな事言わない、だけど如何してだろう。
ぼくは今とても其の芸術家を殺りたいんだ。


「ぼくが、殺る...。」

「珍しいな、お前が殺りたいって言うなんて...。」

「...気が向いただけ。」

「だ、大丈夫なの?」


ベティが心配そうな顔をして僕を見つめる。
同じ年の弟が殺されているのだから、仕方が無いか。


「大丈夫。ぼくは殺すだけだから...」


ベティは理解出来ていないらしく、心配の目をぼくに向ける。
セルリアがそんなベティの頭を少し乱雑に撫でた。


「大丈夫って言ってんだろ。心配すんな。」


セルリアの言葉にベティは少し微笑んだ。
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