【番外編】 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
side:ディーブ
ベティが夕食を作ってくれて、2人でテーブルを囲んで食べ始めた。
ベティの作った料理は、とても美味しい。セルリアやドールにも食べさせてあげたいな。
ギフトは...副業が忙しいから、また今度で良いのかな。


「美味しい?」

「...うん。」

「良かった。」


そう言ってベティは微笑んだ。
ぼくもベティに微笑み返した。
こんな日常も良いかもしれない。

夕食を食べていると、玄関がノックされる音が鳴った。
ベティが食器を置いて、玄関に向かう。
もしかしたら、セルリア達かもしれないので、頭だけ玄関に向ける。

ベティが玄関のドアを開ける。ドアの向こう側にいたのは、昼間出会った男性だった。
夜の所為か、猫背と罅入った眼鏡は不気味さを増していた。
ベティは苦笑いを堪えながらも、笑顔で対応した。


「...如何、されましたか?」


男性は黙ったまま目玉を動かした。目玉がぼくを捉えると、男性の口角が不気味に上がった。
全身に悪寒が走る。息も上がって、脈拍も速くなる。
この男...ぼくを殺しに来たんだ。


「あの、もう...遅いので、」

「いえいえ...貴方に、用はありません。」


男はベティを押しのけると、真っ直ぐぼくの方へ歩み寄ってきた。
家まで押しかけてくるのか...。

ぼくは座っていた椅子から、急いで降りると、男の手に捕まらないようにベティの元へ走った。
無事ベティの元に辿り着く事が出来た。男はどうやら、結構鈍いようだ。
ぼくはベティの手を握ると、外へ走り出た。

辺りは真っ暗で人影は一切見えない。
元々体力の無いぼくは息を切らしながら、ベティの手を引いて走った。
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