【番外編】 Sicario ～哀しみに囚われた殺人鬼達～

泣き疲れたベティが眠ってしまい、ドールはベティを横抱きすると、奥にある空き部屋へ連れて行った。
其れを見計らったように、玄関のドアが激しく叩かれた。
大体の予想をたて、ぼくは玄関のドアを開けた。

予想通りセルリアが息を上げて立っていた。
背中には『血塗れた芸術家』が力無く背負われている。


｢此奴見た目より重いｯ!!｣

｢セルリア、五月蝿い...。｣


リビングへ入り、更に奥にある僕の部屋まで、『血塗れた芸術家』をセルリアに運ばせた。
僕の部屋のまた奥に繋がる部屋へ入ると、手術台のようなベッドに『血塗れた芸術家』を寝かせた。

セルリアは大きな溜息を長く吐くと、リビングに戻ると一言ぼくに言って行ってしまった。
ぼくはセルリアが去った後、『血塗れた芸術家』が目を覚ます前に、手術台の側面に付いているベルトで、『血塗れた芸術家』を固定した。

これでもう、彼は逃れられない。
ぼくは彼が目を覚ますまで、傍にあるパイプ椅子に座って、眠っている彼を唯見つめていた。

流石セルリア、ターゲットの体には外傷が少ない。と言うより、ドールが何かを投げて付けた外傷以外目立つものはない。
あれから如何やって気絶させたのかは、あえて考えないでおこう。












｢何時になったら、起きるのかな...?｣


多分、ぼくは微笑みながら言ったと思う。