【番外編】 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
『血塗れた芸術家』を殺り終え、夜が明けた。
ベティも無事に正気を取り戻した。ぼくもある程度落ち着きを取り戻した。
ベティは約束の首飾りをギフトに渡して、お礼の言葉を言ってつい先程帰って行った。
ギフトは首飾りにはめられているラピスラズリに夢中になっている。
ドールはそんなギフトを見て、一緒に楽しそうにしている。
セルリアはソファーに横になって、静かに寝ている。
そしてぼくは、そんなセルリアの傍で朝のニュースを見ている。
もう何も無かったかの様に、皆それぞれに自由に過ごしている。
ぼくも人を1人殺したと言うのに、不思議と眠たくなくて、普段通りゆったり過ごしている。
普通の人なら殺しをした後なんか、手の震えとかフラッシュバックとかで、一時も安らげないんだろうな。
そんな初々しい感覚なんて、何処かに落として来てしまったんだけど...。
「ラピスラズリか!!宝石なんか興味無かったけど、案外良いもんだね!!」
「藍色も良いと思うけど、ボクは兄さんの瞳が1番だよ♥♥」
「お前は黙ってろよ。」
「はーい♥」
ラーベスト兄弟は普段通り過ぎて、特に言う事も無い。
何と言うか、本当...楽天家だよ。
セルリアは無神経過ぎて、此方も特に言う事は無い。
あれからセルリアはぼくに妙に優し気だし、ギフトも何か言ってくる事も無かった。
これは彼等なりの優しさと感じて良いのだろうか。
「...もう大丈夫か?」
眠っていると思っていたセルリアが、ぼくに声を掛けた。
セルリアの方を向いたが、碧い瞳は閉ざされたままだった。
「...心配してるの?」
「まぁ...、それなりにな。泣いてたじゃねぇーか。」
「他人には、そんな事...言わない癖に。」
「“あいつ”に少し似てたんだよ。」
「“あいつ”って誰...?」
ケビンの事だろうと思いつつ、敢えて聞いてみた。
「...秘密だ。」
セルリアの返答は、ぼくの予想に反したものだった。
誰かを詳しく聞こうと思ったが、セルリアが寝返りをうってしまって聞く事が出来なかった。
「でもまぁ、大丈夫なら良いや。」
「...そう。」
ぼくは素っ気なく答えると、セルリアに寄り掛かって欠伸を1つついた。
【血塗れた少年】《完》
ベティも無事に正気を取り戻した。ぼくもある程度落ち着きを取り戻した。
ベティは約束の首飾りをギフトに渡して、お礼の言葉を言ってつい先程帰って行った。
ギフトは首飾りにはめられているラピスラズリに夢中になっている。
ドールはそんなギフトを見て、一緒に楽しそうにしている。
セルリアはソファーに横になって、静かに寝ている。
そしてぼくは、そんなセルリアの傍で朝のニュースを見ている。
もう何も無かったかの様に、皆それぞれに自由に過ごしている。
ぼくも人を1人殺したと言うのに、不思議と眠たくなくて、普段通りゆったり過ごしている。
普通の人なら殺しをした後なんか、手の震えとかフラッシュバックとかで、一時も安らげないんだろうな。
そんな初々しい感覚なんて、何処かに落として来てしまったんだけど...。
「ラピスラズリか!!宝石なんか興味無かったけど、案外良いもんだね!!」
「藍色も良いと思うけど、ボクは兄さんの瞳が1番だよ♥♥」
「お前は黙ってろよ。」
「はーい♥」
ラーベスト兄弟は普段通り過ぎて、特に言う事も無い。
何と言うか、本当...楽天家だよ。
セルリアは無神経過ぎて、此方も特に言う事は無い。
あれからセルリアはぼくに妙に優し気だし、ギフトも何か言ってくる事も無かった。
これは彼等なりの優しさと感じて良いのだろうか。
「...もう大丈夫か?」
眠っていると思っていたセルリアが、ぼくに声を掛けた。
セルリアの方を向いたが、碧い瞳は閉ざされたままだった。
「...心配してるの?」
「まぁ...、それなりにな。泣いてたじゃねぇーか。」
「他人には、そんな事...言わない癖に。」
「“あいつ”に少し似てたんだよ。」
「“あいつ”って誰...?」
ケビンの事だろうと思いつつ、敢えて聞いてみた。
「...秘密だ。」
セルリアの返答は、ぼくの予想に反したものだった。
誰かを詳しく聞こうと思ったが、セルリアが寝返りをうってしまって聞く事が出来なかった。
「でもまぁ、大丈夫なら良いや。」
「...そう。」
ぼくは素っ気なく答えると、セルリアに寄り掛かって欠伸を1つついた。
【血塗れた少年】《完》