【続編】2月14日
あれから七年
その人は寒い冬の日。
通い慣れたカフェで見かけた。
周りと比べて格段に背が低くて、お世辞にもスタイルは褒められない女性。
深く帽子をかぶり、顔は見えないが、おそらくこの辺の人ではない。
華奢な体つきなのに、大きなキャリーバッグとパンパンに膨れたトートバッグを持ったその人の腕は、今にも折れてしまいそうで。
つい、話しかけてしまった。
「荷物、持ちましょうか?」
彼女は話しかけられたことに気付かなかったのか、はたまた無視をしたのか、僕の前を通り過ぎてカフェから出て行ってしまった。
僕の心臓は激しく脈打ち、口内は渇き、彼女が出て行った扉からしばらく目が離せなかった。
一瞬だけ見えた彼女の横顔は、まるで、君そのものだった。