【続編】2月14日
フランスで日本語講師を始めて、もう三年が経つ。
大学時代に留学したときに知り合った教授の誘いで、こちらの職についた。
君に彼氏ができたと風の噂で聞き、僕は激しく嫉妬し、自暴自棄になっていた。
他の男といて幸せそうな君を想像するだけで、胸が張り裂ける思いがして、君と鉢合わせることの無い海外は都合が良かった。
日本を出る際、家族以外の誰にも告げずに来た。
もちろん、君にも。
フランス語にも慣れ、日常会話程度なら卒なくこなせるようになった。
ようやく落ち着いてきた今、君が、あるいは君に似た女性が、僕の目の前に現れたのは、果たして偶然なのだろうか。