【続編】2月14日
車を走らせながら、高校以来、七年ぶりにちゃんと君と話した。
「このあと暇?なんか予定ある?」
「なんもない、予定まっさら」
「よかった」
僕は安心して職場へ向かった。
「今は日本語講師をしてる。フランスで仕事してるのは、たまたま仕事の誘いが来て、面白そうだと思ったから。連絡先を教えなかったのは、わざとじゃなくて、前の携帯がデータごと壊れたから」
「じゃあ、フランスに行くことを教えてくれんかったんは、なんで?」
「それは…」
連絡を取りづらかったから。
君の携帯に連絡して、もし万が一にでも彼氏が出るのが怖かったから。
「彼氏ができたって聞いたから、遠慮した」
「彼氏?私、彼氏おったことないし、彼氏おったら遠慮するって意味わからん!」
「…え?彼氏…いないの?」
「おらんし、おったこともない」
「嘘だろ…」
今更すぎる事実に、後悔の念が押し寄せる。
この三年間、なんのために慣れない土地で苦労してきたのかわからない。