【続編】2月14日

「ここが職場?」

 小柄な体を反らせて高層ビルを見上げる君は、やっぱり可愛らしい。

「ここの4階」

「私が入ってええの?」

「特別講師ってことにすればいいさ」

 今日はすごく気分がいい。

 君がいるだけでこんなにも日々が輝くのなら、大人しく日本にいればよかった。



 仕事が終わり、僕の椅子でくつろいでいる君の横顔を、いつまでも見ていたいと思った。

「くるみはいつまでこっちにいるの?」

「本当は今日までだったけど、もう飛行機キャンセルしちゃった」

 君の言葉に心の中でガッツポーズをした。

「じゃあどうすんの?」

 わざと気のないふりをして、かわいらしい君の反応を煽った。

「どアホ、悠真のとこに泊まるに決まっとるー」

「まじで?」

「もしかしてダメなん?」

 君は眉間にしわを寄せて、心配そうな表情をする。

 この顔で落ちない男がどこにいるんだ。

「いや、平気だけど」

「もう、驚かせんなや」

 安心して頬が緩んだ君の笑顔は、僕を癒しに来た大天使ラファエルそのものだ。

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