はるのリベンジ



次の日、私は、不安をかき消すように、道場で汗を流していると、



ドタドタと家の方から、音がしている。



はる「何?」




すると、そこに井原様の奥様が走ってきて、



奥様「早よ逃げなさい!!」



はる「え?」



奥様「壬生浪士が来てるっ!夕餉の時また、戻っておいで!」



そう言われると、裏口の横から、隣の家に逃がしてもらった。





何が起こっているのかわからず、町をさ迷う。夕日に町は染められて徐々に暗くなる。




そして、道場に帰ってくると、中から声がする。



『あの子、置いてたら、また、こんな事になるんちゃうの?』


『でも、あの子を追い出すにわけには・・・。』



『お金渡して、宿にでも泊まってもろたらええんやん。壬生狼にこんなんされてっ!また、こんなんされたら怖いわ!』



私は、スッと、襖を開けた。





すると、皆が、こちらを見て固まる。


部屋はぐちゃぐちゃに荒らされていた。




はる「あ・・・。父が捕まったせいで・・・。」




井原「おぉ!おはるちゃん!大丈夫やったか?ちょっと、散らかってしもうてな。」



はる「すみませんっ!私のせいで・・・。あの・・・。大変失礼なのですが、私は、お金を持っていません。貸してもらえませんか?その代わり、ここを出ますので。」


井原「そんなんせんでえぇ!ここに・・・。」


はる「いえ。もう、ご迷惑はおかけ出来ません。」


これ以上、迷惑はかけれない。


そして、お金を借りると、部屋で荷物をまとめる。


はる「あれ?婚礼衣装がない・・・。」



私は井原様に聞くと壬生狼が持って行ったと聞かされた。



何であんな物を?それに、父は大丈夫かな?




そして、父が帰ってくること信じて、宿に泊まって3日が経った頃、井原様が飛んできた。




井原「おはるちゃん!!!」



三条大橋に、遺体が上がったと聞いて飛び出した。





河原で、青白く冷たくなっているのは、明らかに父だった。


父は、あちこち、腫れていて、赤くなっている。しかも、足の裏に、釘を打たれているような痕まであった。





はる「っ・・・。父上っ!!!!なんて、酷い・・・。っ。ふぐっ。ふっ。」




井原様は、関わると、睨まれるということだったので、宿で別れていた。




私は、近くの店から、大八車や、鍬(くわ)を借りた。





でも、皆、腫れ物に触るようで近寄って来ない。




私の目から涙がこぼれ落ちる。どんどん、溢れて、止められない。




絶対、許さない!壬生浪士組。



父上を埋葬したら、仇を取りに行く・・・。



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