はるのリベンジ
そして、帰ろうということになった。
沖田「送ります。」
はる「いえ。結構です。お気持ちだけで。今日は、ありがとうございました。」
そう言って、帰ろうとする彼女の手を握っていた。
沖田「あ・・・。えっと・・・。その・・・。」
まだ、もう少し一緒にいたい。
私は、彼女の手を引き、近くの河辺まで連れてきた。
沖田「すいません。もう少し、一緒にいたくて・・・。その・・・。」
そうすると、彼女はフッと笑い、河辺の側に、腰を下ろした。
はる「月が綺麗ですね~。」
沖田「はい。でも、貴方の方が・・・。」
そう言おうとした時、
彼女が声を上げる。
はる「あ!そうだ!あの、今日、沖田様にお渡ししたいものがあったんです。はい。どうぞ。」
そう言って、手渡された物は、初めて出会ったときに貰った薬だった。
はる「これ、結構、効くんですよ?沖田様も傷が絶えないでしょう?って梅之助に渡せば良かったですね。」
沖田「いえ!ありがとう。その・・・。嬉しい!」
彼女が“私のことを考えて用意してくれたもの”がとても嬉しかった。
そして、体を抱き寄せて唇を重ねた。
軽く胸を押されるが、結った髪の毛の中に手を入れて、離れないように少しだけ手に力を入れる。
離れたくない。
ずっと、こうしていたい。
少し、唇を離して、また、口付けようとすると、手で、口を押さえられて、
はる「ダメです。」
と言って、私を軽く睨んでいた。
その顔が可愛くて、手をどかして、唇を奪った。
そして、しばらく甘い時間を過ごしていると、
はる「もう本当に、帰ります。」
このやりとりは確か、5回目くらい。
私は、お酒も入ってるせいか少し、強引になっている。
沖田「離したくない。帰したくない。」
はる「でも、私達は、そんな関係ではありません。」
沖田「そんな事、言わないで・・・。」
グッと引き寄せて、唇を何度も啄む。
はる「沖田様・・・。もう、帰らないと。」
おはるちゃんをギュッと抱きしめる。
離したくない。触れるだけで、頭の天辺から、足の先まで、痺れるような甘い感覚を離せずにいた。
はる「沖田様・・・。また、今度、ね?」
ジッと見つめられ、また、顔を近付けようとすると、おはるちゃんは、バッと立ち上がって、
はる「おやすみなさい。」
と言って走って行った。