はるのリベンジ


藤堂「沖田さん。すいません。」


私は、梅ちゃんを返そうとすると、手で制された。


どうして?恋仲が、他の男と抱き合うとか、嫌じゃないのかな?


すると、藤堂君は、察したのか、慌てて否定してきた。



藤堂「違いますよ!俺らは、何もありません!」


沖田「恋仲じゃないの?」


藤堂「違いますよ!梅は、おなごとわかっても、弟みたいだし。」


疑問を、ぶつけてみた。


沖田「じゃあ、何で、抱き合ってたの?」


藤堂「コイツ、伊東先生の講義、いっつも寝てるんです。んで、寒いのか、俺にしがみつく。でも、内容わかんないとついていけないから、俺が毎回、講義してるってワケです。」


なーんだ。変な事してたんじゃないんだ。



すると、藤堂君が、笑いながら、


藤堂「本当に、好きなんですね。梅のこと。」


沖田「え!?私は、もうこの想いは捨てたんだ。」


藤堂「無理でしょ?もう、沖田さん。この子なしでは生きられないって感じになってるし。」


沖田「なってないよ!!」

二人共、ハッとなるが、腕の中の梅ちゃんはスヤスヤ寝てる。


軽く安堵し、話を続ける。


沖田「この子には、高杉がいるし、それに、いずれ敵になる。近藤先生を危ない目に合わせる危険性のある子に好意を寄せるなんてダメだよ。」



藤堂「だったら、自分のことを、好きにさせればいいじゃないですか?向こうに帰りたくないって思わせるくらいに。」



沖田「藤堂君は、この二人を見ていないから言えるんだよ。本当に、二人は、愛し合ってる。」



藤堂「諦めるって言ってるわりには、沖田さん、いっつも、梅のこと見てますよ。俺なら、奪うけどな。どんなに愛し合ってても、自分の欲しいものなら奪う。それが、本当に大事なものなら尚更だ。後で、後悔したくないし。」


私は言い返せなかった。



藤堂「それじゃ、梅の枕は代わって下さい。俺、見廻りなんで。宜しくお願いします。」



そう言うと、藤堂君は出て行った。



残された私は、腕の中の梅ちゃんを見た。


沖田「大事なもの・・・。奪う・・・。」


そんな事、思いもしなかった。



やっぱり、藤堂君は、私の恋の先生だ。



そして、もう一度、梅ちゃんを見た。



私は、ギュッと、抱きしめて、梅ちゃんの唇に自分のを重ねた。



触れている先から、甘く痺れるような感覚が全身を包む。



一度、離れて、もう一度、唇を重ねようとすると梅ちゃんが、バッと起きた。



沖田(っ!!!バレてないよね?)



梅之助「すいません!藤堂助勤・・ってあれ?・・・。沖田助勤!」


どうやら、私を、藤堂君と思っていたようで、梅ちゃんは、目を白黒させていた。



梅ちゃんは、バッと、離れて、


梅之助「すいません!あの・・・。これは、その・・・。」


密偵というお役目を知ってる私に居眠りしているのを見られて、言い訳を考えてる。私は、楽しくなり、苛める。




沖田「ほぼ毎回みたいだね。」


梅之助「すいません。あまりにも、退屈で・・・。どうやら、私には、伊東先生の講義は、子守歌に聞こえるみたいで・・・。」



沖田「へぇ。土方さんに言ったら、どうなるかなぁ?」


楽しく言う私に青ざめる梅ちゃん。すると、


梅之助「ば、買収させてください!!!お団子でどうですか?」


沖田「お団子ねぇ・・・。昨日、食べたしぃ。」



本当は、そんなものいい。こうやって、二人で話をしたかったんだ。


梅之助「では、金平糖も付けます。これで、どうですか!?」


沖田「乗った!」



すると、梅ちゃんが、抱きついてきた。



沖田「うううう梅ちゃん!?なななな何を!?」



梅之助「え?聞かれたくない話なので。こうしたら聞こえないでしょう?でも、良かったぁ!ちょっと、探ってる事があって、今、騒がしたくないんです。だから、黙っててくれて、ありがとうございます。」




耳に、梅ちゃんの息が当たって、ゾクゾクする。



そのまま、固まってると、いつの間にか梅ちゃんは、いなくなっていた。









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