はるのリベンジ









周りが明るくなり、目を開ける。


見慣れない天井。



宿変えたっけ?




それにしても、頭・・・。痛い。喉もカラカラ・・・。しかも、下腹、痛い・・・。


起き上がり自分の格好に気を失いそうになる。




はる「何で、裸?・・・。えーっと・・・。昨日・・・。父上が、壬生浪士組に殺されて三条大橋に上げられて・・・。お坊様に・・・。あ!」



サーッと血の気が引く。




東行「くくくっ。起きたか?は・る?」



隣を見ると、これまた、裸の東行様が寝転んで私を見ながら笑っていた。



はる「何で、私の名前・・・。」


東行「おまえの中にいるときに聞いた。」



はる「なっ!あのっ。き、き、昨日・・・。その・・・。私達・・・。」



東行「あぁ、交わった。お前の『最初』は俺が戴いた。」




やっぱり・・・。





はる「私っ・・。最低だ・・・。父上が殺された日に、こんな奴と・・。こんな事するなんて・・・。」



私は、自己嫌悪に押しつぶされそうになった。




私は、素早く着替えて、出て行こうとした。すると・・・。




東行「これから、仇討ちに行くのか?」


はる「何でそれを・・・。」

東行「昨日・・・。」


はる「言わなくて良いです!」


東行「壬生浪士組は剣豪の集まり。お前が、行ったところで、返り討ちにされるのは目に見えてる。しかも、あそこは、男しかいない。おなごのお前が一人で乗り込んだところで手込めにされて終わるだけだ。頭を使わないとなぁ・・・。」



はる「でも、このまま、泣き寝入りするのは嫌ですっ!父はっ・・・。父はっ・・・。」




東行「俺が、教示してやろうか?」



はる「えっ?」



東行様を見返すと、楽しそうに笑っている。



どうしよう。でも、確かに、作戦は必要だ。父上を殺した奴を殺すまでは死ねない。




私は、正座をし、頭を畳に付けた。



はる「お願いします!私に、教示して下さいっ!」



東行「お前・・・。もうすぐ、婚礼挙げるんだろ?だったら、父親の事なんか忘れて、そいつと幸せになれ。」




忘れるなんて出来ないよ・・・。



ずっと、ずっと、心に残るよ・・・。




はる「お願いします!私、仇討ちがしたいんです!お願いします!」



もう一度、頭を下げて畳に付ける。



すると、東行様は、体を起こして、胡座をかいた。



東行「だったら、覚悟を見せろ。」


はる「覚悟・・・。」


東行「あぁ。中途半端にやったらこっちまで火の粉が飛んで来る。」



覚悟ってどうしたら?どうすれば、私が、本気だってわかってもらえる?




そうだ・・・。





私は、小刀を出して、自分の髪の毛を、切った。



そして、それを渡した。



東行「ふーん。・・・くくっ。」



東行様が、笑ったかと思うと、ポイッと私の髪の毛を投げた。


えっ?違うの?


グイッと、腕を引っ張られる。すると、東行様の胸になだれ込む。



すかさず、上を向かされて、口付けされる。



はる「何をっ!」



東行「覚悟を見せるって言うなら、お前から、お前を俺に差し出せよ。」



面白がるように、東行様は、私を、見つめる。



東行「さぁ、どうする?別に、俺はどっちでも良い。まぁ、止めたとしてもお前はどっかの坊主に水揚げされたってことだけだ。くくくっ。」



何なの。この人。本当に意地悪。



私は、心に決める。この人を頼る。



私は、身体を起こして、両手で東行様の頬に触れる。



そして、唇を重ねた。



すると、口付けが、どんどん、深くなる。



そして、褥の上になだれ込む。



私は、東行様の愛撫を受けながら、復讐を心に誓う。



東行「おい!」


いきなり、呼ばれる。


はる「は、はい!」



東行「俺に、抱かれているときは、他のことを考えるなっ!」



はる「すみません。」



今のは何だったんだろう。



私は、東行様と絡み合いながら思う。この人はなんて優しく私を抱くんだろう・・・。



私のこと好きって勘違いしそうになる。








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