はるのリベンジ




少し前より、気になることがある。



東行先生は、よく咳をしている。



風邪にしては、長引いてる。



嫌な予感がする。


・・・。労咳(ろうがい)・・・。


私は、小川の父に、医術を教えてもらっているんだ!



東行先生の体調にも、気をつけないと!


はる「東行先生!お話があります!」


意気込んでいる私に、『またか』という、うんざり顔。



そう、何回も言っているのに、東行先生は、医者に診せるのを頑なに拒否をしていた。



確かに今、東行先生が、戦線離脱をするのは、痛手だ。



けど・・・。


はる「先生・・・。」



東行「梅・・・。俺が、今、ここを離れ床に伏せて何になる。お前は、前に、琴平で言ったではないか。俺には、すべき事があるから、生かされてると・・・。」


はる「はい・・・。」


東行「ならば、わかるな?」



『病のことは言うな』ということ。



はる「・・・はい・・・。」



ギュッと抱きしめられ、頭を優しく撫でられる。



東行「よし。よく言った。」



そんなやりとりの後、ついに、広島での会談は決裂した。





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