はるのリベンジ
何とか、下関まで、海路で帰ってきた。
それから、はるは、銃の鍛錬もするようになった。
はるは、一旦ハマると、極めようとする。
まぁ、俺と、一緒にいると危ないこともあるだろうから、鍛錬するに越したことはない。
そして、俺は色々と忙しく動き回った。
藩より、名前を谷 潜蔵と名を変えるよう命じられた。
そして、強く、藩に願い出て、 赤間関都合役を命じられ、 下関の新地会所に勤めるようになった。
それはそれは、甘い生活だ。
妻のおマサには悪いと思うが、この気持ちは止められなかった。
しかし、大変な事態となる。
慶応2年2月。
何と、マサと母上と梅之進が下関に来てしまった。
はるは、入江殿の茶室に住んでいる。
マサ達は、白石殿の離れに住まわせた。
東行「はぁ・・・。どうすれば・・・。気まず過ぎるではないかっ・・・。」
しかも、はるには会えず・・・。
たまに会いに行くが、泊まることは叶わず、嘘をつくのが後ろめたい。
すると、はるは、俺に新しい女が出来たと思ったようで、別れ話をしてきた。
違うっ!
こんなに焦ることが今まであっただろうか?
俺は、木戸兄に愚痴の文を書いていた。
そして、藩にお役目を強引に貰い、伊藤とはるを連れて、薩摩へ向かった。
伊藤「谷さん。お役目貰えて良かったですね。あのままだったら、針のむしろだ。はははっ。」
東行「うるさい。」
伊藤「でも、谷さんの思惑通り、奥方様達は萩へ帰ったのでしょう?」
東行「あぁ。」
長崎に着いて薩摩藩邸に行き挨拶に行くが、薩摩に入るのは危ないと言われ、役目が終わった。
俺は、これからのエゲレスの旅に心が踊る。
しかし・・・。
広島での会談が上手く行っていない事が耳に入る。
はぁ・・・。
今回もお預けだ。
仕方ないので、長崎の街をはると歩く。
伊藤は、馴染みの芸妓に会うとのことで、別行動。
はるは終始楽しそうにあちこち見ていた。
俺は、マサに色々な高級品を購入し文を添えて贈る。
お役目とはいえ、ほぼ逃げ出したと一緒だ。
東行「はる、この帯を買ってやろうか?」
はる「う゛ーん・・・。見てるだけでいいです。」
おなごが喜びそうな簪や着物などは、あまり興味がないようだ。
はるが目をキラキラさせていたのは・・・。刀、銃そして、布地だった。
東行「はぁ・・・。お前、これは一見、男の買い物だぞ・・・。」
はるにも、欲しい物を買ってやると、ものすごく喜んでいた。
そして、伊藤と合流し、港を歩いていると、はるが声を上げた。
はる「あ・・・。東行先生!アレって売り物ですか?個人では、無理ですよねー。あんなのは、藩とかで買うんでしょうねー。」
東行「ん?あぁ・・・。あ!!そうだ!それだ!梅!でかした!」
そうだ!長州藩は、こういった蒸気船はない。会談が決別したら、戦争になる。
戦争になったら、軍艦があれば、勝てる可能性が上がる。
以前、上海で見た、大砲を思い出す。それと同じ物が3機も搭載されていた。買うしかない!
呆気に取られる二人を尻目に意気揚々の俺。
36250両で蒸気船を長州藩が購入するとの契約を独断でした。
そして、その軍艦で、下関まで帰り、藩の上役を説得に回った。