はるのリベンジ
大里が手に落ちて、次は、関門海峡の対岸。
俺が指示をしていると、はるがまとわりつく。
はる「行かせて下さい!」
東行「ダメだ。」
何回目だ・・・。
はぁ・・・。
はるは、自分が配置された、5番隊に付いて行くと言う。
5番隊は、上陸して、戦闘をしなくてはいけない。
そんな所に、女を行かせる訳にはいかない。
そして、作戦会議のため、はるを若い奴に預けて離れた。
会議が終わり、はるがいない事に気付く。
預けた奴にはるの居場所を聞いてもわからない。
はるを探すもどこにもいない。
小川「あれぇ?谷。どうした?慌てて。」
東行「はるがいねぇ。」
小川「え?」
月隈「今、調べたが・・・。アイツを見た者がいない。隠れて、『どこか』へ行ったようだ。」
小川「“どこか”って・・・。」
東行「まさか・・・。」
双眼鏡に食い入るように目を当てて、5番隊が行く予定の所を探す。
東行「・・・。」
小川「・・・。」
月隈「・・・いた!」
小川「どこ!?」
月隈「西の方角、隊の一番後ろにいる。」
小川「いた・・・。」
東行「はぁ・・・。」
すると、しばらく見ていると、一頭の馬に乗った隊士が、飛び出した。
東行「なっ!」
小川「うそっ!」
月隈「・・・。」
はるは、銃を撃ちまくり、挙げ句、敵の中に飛び込み、斬りまくっている。
東行「っぷ。はははははは!さすが、俺が惚れ・・認めたおなご!はははははは!」
小川「すごいじゃないか!腕を上げたな。」
月隈「でも、あの戦闘の仕方は・・・。新選組と奇兵隊のものを混ぜてる・・・。」
東行「あぁ。多分、そうだ。そうか・・・。ここまで腕を上げてるとはな。」
お互い、3人で、肩を叩き合う。
俺達は、嬉しかった。
自分達が、教示した教え子の活躍している所を見て・・・。
誉めてやりたかった。
頭を撫で、「良くやった」と。
でも、顔を見たとたん、はるの頬を叩いていた。
東行「俺の言うことが聞けないなら、船を降りろっ!!!」
出てきた言葉は、キツい一言。総督としての立場。総督の命令違反。
はる「すみません・・・。でも・・・。どうして、俺だけ、外されたんですか?俺は、5番隊に配属されたのに、どうしてですか?」
東行「それは、お前が、おなごで、足手まといになるからだ。」
はるは、目に涙をいっぱい溜めて俺を睨んできた。
はる「足手まといですか・・・。すいませんでした・・・。」
そして、頭を下げて、その場から去って行った。
追いかけると、はるは、甲板の端に座って、海の向こうを眺めていた。
はる「結構、頑張ったんだけどな。」
自分の着物に付いた返り血をチラと見て溜め息をついていた。
はる「着替えよう。」
着替えに戻ったのか、はるは、綺麗な格好になり、また、甲板にやってきた。
俺は、また、物影に隠れて、はるの様子を窺う。