はるのリベンジ
はぁ・・・。これで、良かったんだよね・・・。
前に、長崎で先生に買って貰った布で小さな巾着を作った。
その中に、紙で包んだ東行先生の髪の毛を入れ首にかけた。
東行先生が近くにいるみたい。
数日が過ぎた頃、小川先生と、月隈先生が来られた。
小川「久しぶり・・・っ。」
月隈「大丈夫か?」
二人は、心配そうに私の顔を覗いている。
何を、仰っているのかわからないが・・・。
はる「私は、大丈夫です。」
そう言うと、二人は、目配せをして、首を横に振った。
そして、私に文を渡してくれた。
はる「これは?」
小川「谷からだよ。」
はる「え?」
そこには、東行先生の文字で『はるへ』と書かれていた。
先生の文字・・・。
私は、胸にギュッと文を抱きしめた。
すると、月隈先生に、もう一枚、紙を渡される。
月隈「それに書かれている所に、谷が、文を出したらしい。お前宛の文を添えて・・・。取りに行けと書いてある物もあれば、届けてやってくれと書いてある物もあるらしい。」
あの時に、私に、内緒で何通も書いていた物だ。
小川「お前、谷に、言われてる事があるんだろう?それで、よく考えてみろだって。それを言ってくれって、文に書いてた。まぁ、頑張れ!」
ポンと肩を叩かれる。
月隈「俺達は、また、京へ行くが、お前も来るか?」
私は、首を横に振った。
はる「お誘いありがとうございます。今は、まだ、動く気になれなくて・・・。それに、文もこんなに届くようなので、待ってみます。ありがとうございます。」
私は、深々と頭を下げた。
先生達を見送った後に、文を開く。
すると、一人にさせてしまうことへの申し訳なさや私への気持ちが書いてあった。
最後に、心を動かした者の所へ行けと書いてあった。
はる「心が動くのは、先生だけです・・・。」
私は、何度も、文を読み返していた。
それを期に、色々な方が、来てくれた。
白石様や入江様まで。彼らは、娘に来ないかと言ってくれたが、お断りした。
私は、先生の文に、囲まれて、寂しさを紛らわせていた。