はるのリベンジ



すると、



「梅ちゃーーーん!!」



起き上がって、階段の下を見ると、沖田組長が走って階段を上ってきた。



ポカーンとしてると、団子を目の前に出された。



沖田「買ってきた。食べよう?」



私は一本貰い口に入れる。


味がしない。



そう・・・。



あれから、何を食べても味がしない。



私は、味のしない団子を無理やり飲み込む。



沖田「ねぇ。梅ちゃん。辛かったね。」



そう言うと、沖田組長は、私を抱きしめた。



沖田「梅ちゃんの気持ち・・・。よくわかるよ?私にも、近藤先生という師がいる。先生が亡くなったと思ったら、本当に苦しい。私は、先生の横で死を選ぶと思う。でも・・・。先生に死ぬなと言われたら・・・。今の君みたいになると思う。というか、何か言われてるんだったら、それを、死ぬ気ですると思うけど難しいんでしょう?私でよければ聞く・・・。そういえばさぁ、昔もこんな事あったよね?」



私は、沖田組長の胸の中で今まで我慢してきた事をポツリ、ポツリと話し出した。



はる「私・・・。本当に幸せだったんです。先生と一緒にいれて・・・。向こうでも、銃の使い方とか、他にも色々教えてもらいました。先生は、私に、幸せになれって言う。心を動かされた人の側にいろと言う。私は、信じてたんです・・・。病でも、先生は治るって・・・。でも・・・。どんどん弱っていくんです。そして、医者から、時間がもう無いって言われて、ご家族が来たんです。」



沖田「いじめられた?」


私は、首を横に振る。



はる「私は、ずっと・・・。梅になってた・・・。先生の側から離れたくなかった・・・。でも・・・。私は、妾で・・・。他人です。あの時、ずっと、気持ちを押し殺してた。先生に、自分の気持ちも言わなかった。先生が居なくなって・・・。そうしたら感情が、壊れていくんです・・・。男だったら、泣いてはいけない。って踏ん張ってたら、泣けなくなって・・・。眠れなくなって・・・。」



私は、悔しかったんだ。おマサの方様に嫉妬してた。私の方が愛されてたんだって思いたかった。



沖田組長は、私の黒いドロドロした感情を全て出させるように、私の愚痴を聞いてくれた。




ずっと背中をさすってくれた・・・。



すると、目から涙が、ボロボロ出た。堰を切ったように、涙は流れ続けた。



夢中で泣いていると、いつの間にか意識を手放した。



< 210 / 262 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop