はるのリベンジ





はる「小川 梅之助です。宜しくお願いします。」



入った後に気付く。



何だか、殺伐としてる・・・。




何とも言えない空気だな。











私は、以前のように、一番隊、 諾士取調兼監察方、そして、沖田組長の小姓。




はる「あの・・・。沖田組長の小姓は外して・・・。」


土方「ダメだ!お前がやらずして誰がやる!」



沖田組長は、終始、機嫌が良い。




そして・・・。夜。一番隊の部屋へ行くと・・・。



はる「失礼します!小川です。宜しくお願いします!」


隊士「え?」


はる「え?あれ?俺の荷物・・・。」


荷物がない。


隊士「梅の部屋は、沖田組長に聞いて?荷物持ってったし。」



はる「そうですか・・・。」



私は、沖田組長の部屋へ行く。


はる「沖田組長、宜しいでしょうか?」


沖田「はいはい。どうぞ?」



はる「あの。俺の荷物・・・ってここにあったんですね。すみません。すぐ、移動を・・・。」



沖田「ここだよ?」


はる「え?」



沖田「梅ちゃんの部屋ここ。」



えーっと・・・。



はる「どうしてですか?普通なら、俺は平隊士ですから、沖田組長と同じ部屋というのは・・・。」



小姓までしてるのに、部屋も一緒って休めない!二人きりだし。



沖田「今夜は・・・。私達の初夜だね・・・って、ちょっと、照れる。」



はる「いやいやいやいやいやいや。何を仰ってるんでしょうか?全く意味が・・・。」

沖田「こっち、おいで?」



聞いてない!



はる「土方副長に抗議を・・・。」


沖田「ちょっと!また、土方さん?邪魔だよぉ。」



ジリジリと追い詰めて来る。



壁際まで追い詰められた。



はる「沖田組長っっ!!何か、おかしい事になってます!」


沖田「おかしくないよ。愛し合う二人がする事って言ったらねぇ?野暮な事、言っちゃダメだよ。」



はる「私の愛してるお方は、東行先生ですが。」



沖田「またまた。もぉ。」


はる「キャー!!!!変態っっ!!」



大きな声と、バタバタしている音に、皆が来た。



土方「オイ!どうした・・・って、総司っっ!!お前、何してる!?」



沖田組長は、私を押し倒し、手首を掴んでいる。



永倉「お前・・・。」


原田「そりゃ、ダメだろ?」



土方・永倉・原田「はぁ・・・。」



憐れみの目で見る3人。



土方「総司・・・。お前、夜這い下手だなぁ・・・。」



永倉「おなごに、そんな色気のないデカい声上げさせてたらいつまで経っても出来ないぞ。」



はる「なっ。何もしません!」



原田「俺なら、そんなデカい声出させないけどなぁ。」



沖田組長は、真っ赤になって、



沖田「私達は、これからなんです!邪魔しないで下さい!良いところだったのに!」



土方「どこがだよ。くくくっ。」


はる「これからも何も無いです!土方副長!土方副長の部屋に置いて下さい!貞操の危機を感じます!」



沖田「そっちの方が、喰われちゃうよ。」



そこに、運良くか悪くかは、わからないが、山崎さんが来た。



山崎「土方副長。報告が・・・。」



はる「山崎さん!良いところにっっ!!山崎さんの部屋に行っても良いですか?」



何も知らない山崎さんは、普通に答えた。



山崎「別にええけど?なんや?また寝れんくて抱っこして欲しいんか?」



その言葉に、ピクッと反応したのは、沖田組長。



沖田「“抱っこ”ってどういう意味で?」



殺気を纏った沖田組長に、山崎さんは、しまったという顔になり・・・。




山崎「いや。深い意味は・・・。」



ビュン。沖田組長が抜刀し、山崎さんめがけて振り下ろした。



山崎「ウワッ。危なっ!ちょっと待って下さいっ!」



と二人で鬼ごっこに出てしまう。




土方「梅・・・。お前、俺んとこに来い。」



はる「はい。宜しくお願いします。」




そして、私は、土方副長の部屋に移動する。






私を、褥に寝かせて、土方副長は、何か、書簡を書いている。




はる「毎晩、大変ですね?でも、懐かしい。」



土方「あぁ?そうか?」



はる「土方副長。また、置いて頂いてありがとうございます。」



土方「お前の情報が欲しいだけだっ・・・。」



耳、赤いですよ?土方副長。



はる「土方副長・・・。私、2回目の長州征伐で思った事があります。」



土方「何だ?」



はる「刀だけじゃダメということ。」


今まで、筆を動かしていた、土方副長の手が止まる。



はる「あの戦争の時、私達・・・。長州は、最新式の武器と軍艦で戦った。対して、幕府軍は、全てにおいて旧式・・・。力の差がありすぎる。まぁ、小倉城は、だいぶ苦戦したようですが・・・。」



土方「で?」

はる「新選組も、鉄砲を使えるようにしたほうが良いかと・・・。出過ぎた事を言ってすみません。」


土方「いや。確かに、そうだ。」



土方副長は、刀にはこだわっていないのか?



勝つことに意味があるということなのかな・・・。



土方副長は、はぁ・・・。と溜め息をつき、「もう、寝ろ。」と言って、私の頭を撫でた。




私は、土方副長の背中を見ながら、ゆっくり、眠りに落ちていった。





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