はるのリベンジ




沖田組長はあの告白以来、私に、毎日、愛の言葉を囁く。



沖田「おはるちゃん。」



はる「はい。何でしょうか?」


沖田「私ね、おはるちゃんが笑うと嬉しい。おはるちゃんが辛い顔をしてると、私も苦しくなる。おはるちゃんの隣で、笑ったり泣いたり、共に時間を過ごしたい。夫婦になって下さい。」


はる「沖田組長・・・。私の気持ちは変わりません。ごめんなさい。」



私は、頭を深く下げる。



しかし・・・。こんな、甘い言葉も、鬼の怒声で一瞬にして冷める。




土方「総司ぃぃぃぃぃ!!!どこ行きやっがった!!!!」



はる「呼ばれてますよ?」


沖田「コホッ。ケホッ。本当だ。」



はる「大丈夫ですか?」


私は、背中をさする。


顔を覗き込んだら・・・。チュッ。



はる「なっ!」


沖田「ありがとう!もう大丈夫!私は、鬼をちょっと、おちょくってくるねー。」


おちょくるって、それは、どうなんだ?







私は、鬼に・・・。いやいや間違い。土方副長に見つからないように、山崎さんの部屋に行く。



はる「山崎さん!匿って下さい!」



山崎「ウワッ!驚かせんとって!」




にょきっと天井裏から顔を出した私に山崎さんは驚いたようだった。



はる「山崎さん。沖田組長の事なんですが・・・。」


山崎「何や?恋の相談が?」



はる「いえ。違います。」


山崎「えらいバッサリやな。知ってんねんで?求婚されてるん。」


はる「さすが、監察方。」


山崎「やろ?」


と腕を出してポンポンと叩く。

ここの病とか怪我を見てきた山崎さんならわかるかも・・・。



私は怖かった。沖田組長の咳がいつからしているのか。



東行先生と同じ様な咳をしている・・・。


山崎さんは、真剣な顔になり「どうした?」と聞く。



はる「沖田組長の体調の件です。咳が・・・。気になってて・・・。それに、いつも体温が少し高いんです。微熱があるのではないかと・・・。」



山崎さんは「あぁ」というように頷く。



山崎「医者に診せろって土方副長に言われてるけど拒んではるわ。」



まさか・・・。



東行先生もそうだった・・・。



はる「いつからですか?あの咳・・・。」



山崎「今年入って、少ししてからやと思う。」



はる「そんな前から・・・。」



山崎「診せてもくれんから何とも言われへんけど・・・。もしかしたら・・・。」



労咳・・・。



また?


また、この病は私の大切な人を奪っていくの?



はる「そんな・・・。」



私は、しばらく、山崎さんの所にいて、その後、私は、土方副長の部屋に行く。




はる「土方副長。梅です。宜しいでしょうか?」



土方「あぁ。」



はる「しばらく、屯所を離れたいんです。外出許可下さい。」



土方「どこへ行く?」



はる「長崎へ行きたいんです。」



土方「長崎?武器か?」



はる「まぁ、倒幕派が大量に購入しているというのは聞いていますがそれだけではありません。」



土方「じゃあ、何しに行く?」


はる「調べ物です。」


土方副長は目で「何をだ」と言っている。



はる「病です。」



土方「何の病だ?」



はる「労咳・・・。」



それで、全てが解ったようで、表向きは武器の調達ということで、長崎に行くことになった。




沖田「梅ちゃん!長崎へ行くの?」


はる「はい!お土産はかすていら買ってきますね?あ・・・。高いのかな?」


沖田「土方さんの財布を借りてるんでしょ?そっから出して良いよ。だから、買ってきてね♪」



はる「かしこまりました!」



本当に、甘味好きだな。この人。自然と笑みが出る。





すると、沖田組長はギュッと私を抱きしめた。



沖田「寂しいよ・・・。」



私は、ポンポンと背中を叩く。




はる「待ってて下さい。」



沖田組長は、腕を緩めて、顔を近付ける。



はる「ちょっと!」



手で、沖田組長の顎を押した。



すると、両手首を握られて、口付けをされた。



はる「っ!」




こうなると、沖田組長が満足するまで、離してもらえず受け入れ状態だ・・・。





しばしの別れを惜しんだ後、長崎に行く。





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