はるのリベンジ
そして、私は、小川の父に、医術を。
他に、東行先生から、剣術、尊王攘夷の事など、色々な事を、教わった。
中でも、先生は、吉田 松陰先生の話をするときは、楽しそうだった。
長州でこのお方の名前を知らない者はいないくらいの有名なお方。
東行先生は、吉田 松陰先生と会ったことがあるのかな?
でも、先生の素性を聞くと、怒られるから聞けないし。でも、先生のお話はとても楽しい。
そして、密偵は、小川の父の友人の月隈(つきぐま)先生という方が教えてくれた。
そして、たまに、桂 小五郎様に剣を教わる。
桂「この子が、小川君か。」
はる「初めまして。」
桂「でも良かった。高す・・・。」
バシッ。
桂「痛ってーよ!」
東行「お前が余計な事を言うからだ!」
小川「そこ間違うと怒るんだよねぇ?東行ちゃん?」
東行「うるさいっ!」
はる「あの・・・。前も、『たかす』って先生言われて怒ってましたよね?何かあるのですか?」
東行「お前・・・。鋭くなったな。」
はる「月隈先生のお陰です。」
先生達の間で目配せが飛び交う。
東行「別に、知らなくても良いことだ。」
はる「はい・・・。」
何だか自分だけ知らないことが、寂しかった。
まただ。先生が離れる感じで寂しい気持ち。
ふるふると頭を振る。
でも、桂 小五郎様は、長州のお方。
先生とは、前からの友人みたいだから、長州と親しい藩の方かな?
そして皆様のお陰で実力が付いていく。
最近、何だか、東行先生の行動が気になる。
東行先生は、私のことどう思ってるのかな?
って、ただの気まぐれだよね・・・。
私は、先生のこと何も知らない。教えても貰えない。
え・・・?
何でこんなに気になるのかな?
私が、他の先生に教示してもらってるときには芸妓の所へ行ってるし。
女の匂いを纏った東行先生に抱かれると、胸が壊れるんじゃないかと思うほど苦しくなる。
でも一日中一緒にいるときは、一つ優しくされただけで、飛び跳ねるくらい嬉しくなる。
変だ。
初めの目的を忘れてしまいそうになる。
先生とは、ひと月だけ。
私は、自分に言い聞かせる。
私は復讐をするんだ。
父上の事を思い出す。
今でも、瞼の裏に焼き付いている、父の変わり果てた姿。
父上、絶対、仇を討ちます!必ず。