はるのリベンジ



長州から帰ってきた梅ちゃん。



やっと、また、一緒に暮らせる。



でも・・・。



何か、おかしい。



気持ちが、通じ合ったハズなのに、触れようとすると、避けられる。





私は、逢瀬に誘う。



この逢瀬で、求婚する。



大きな目的だ。あと、二人で、朝を迎えること。



いつも確かに、朝は、同じ部屋で、迎えて、同じ褥で迎えることはある。



しかし、違う!



男と女の関係だ!




頑張れ!私!



そして、門の前で待つ、彼女は、輝くように可愛い。



手を差し伸べると、微笑んで、ギュッと私の手を握ってくれた。




このまま、抱き寄せて、接吻したいところだが、我慢、我慢。





前に逢瀬したときに行った所と同じ所へ行く。






そして、お酒を呑んで、「泊まろう」と言うと、




はる「だって、好いてるおなごを逢瀬に連れて行く下見でしょう?」


沖田「え?下見?」


はる「はい・・・って違うんですか?」


沖田「あ・・・。だからか・・・。」


ずっと、勘違いしてたのか・・・。だからおかしかったんだ。



店を出て、近くの河辺まで来て腰を下ろす。



はる「そろそろ帰らないと・・・。」


沖田「梅ちゃんの外泊許可は取っておいたから・・・。」


はる「はぁ・・・。」



帰りの時間を気にするおはるちゃんに冷たく言ってしまう。



はる「あのー。沖田組長?私、何かしましたか?」


黙って首を横に振る。



もう一度、自分の気持ちを言うんだ・・・。緊張する。



はる「あの・・・。何か悩んでるなら言って下さい!私で・・・っ。」



思わず、ギュッと抱きしめた。



はる「え?沖田組長・・・?」



自分の気持ちをわかって欲しくて腕に力を入れる。


はる「ぐふっ。苦し・・・。」


沖田「あ!ごめんっ!」



しまった!力入れすぎた!パッと離す。



そして・・・。



沖田「私の好いてる人は・・・。おはるちゃんなんだ。」


はる「へ?」



自分の気持ちを言ったら驚かれた。



やっぱり、そうだよね。



はる「私の正体がわかった時に、もう忘れるって・・・。」



沖田「忘れようと思ったけど無理だった。だから・・・。おはるちゃんを私に惚れさせる!」





はる「私には、愛してる人がいます。そのお方を忘れるなど出来ません。」



わかってる。谷が好きなのも・・・。でも、今の自分の気持ちを伝えるんだ・・・。



沖田「わかってる。でも、私は、君と・・・。おはるちゃんと夫婦になりたいと思ってる。それくらい、おはるちゃんを好いてる。おはるちゃん、君が、まだ、谷の事を忘れられないのはわかる。でも、君を幸せにしたい。私は君といたら幸せになれる。一緒に幸せになろうよ?私と夫婦になって下さい。」



はる「なっ・・・。」



そりゃ、驚くよ。自分の事、何とも思ってないだろうと思っていた相手から、求婚されたんだ。



沖田「今日は、自分の気持ちを知って貰いたかった。これから毎日、求婚する。覚悟しておいてね?」



はる「沖田組長!その気持ちにはお応え出来ません。」




沖田「今すぐには、無理だってわかってる。だから、今日は、これを貰う。」



そう言うと、おはるちゃんに接吻した。最初は、気持ちを知って欲しかったから。



でも、触れた瞬間、離れたくなくなった。


頭の後ろに手を置いて、何度も口付けた。




本当は、このまま押し倒したいけど、我慢だ。さっきの口付けで私の気持ちわかってもらえたかなぁ。



沖田「ねぇ。おはるちゃん。」



はる「何ですか?」


沖田「夫婦になろう?私の妻になって?」



はる「嫌です。」



沖田「連れないなぁ。」



冗談っぽく言っておどけてみた。




目を見つめていると、私は吸い寄せられるように、また、おはるちゃんの唇に自分のを重ねていた。










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