はるのリベンジ
それと、同じく、長州藩主父子様の罪は除かれ復位の勅書が山口政治堂に12月17日に届けられたと、小川の父が教えてくれた。
私は、酒屋で、東行先生が大好きだった酒を買った。
夜になり、私は、湯呑みを2つと、酒と肴を持ち、縁側へ行った。
私は、東行先生の形見が入った巾着を首から取り湯呑みの前に置く。
二つの湯呑みにお酒を注ぎ、カチンと鳴らした。
はる「東行先生・・・。ついに・・・。ついに・・・っ。時代が動きました。そして、藩主父子様も復権されました・・・っ。」
私が、お酒を飲んでいると、
「美味そうじゃねぇか。」
「ほんまや!これ、めっちゃ高い酒ですよ。」
後ろを振り向くと、
土方副長と山崎さんがいた。
はる「あ・・・。すみません・・・。これは・・・。」
土方「まぁ。今回は目を瞑ってやる。その代わり、それ・・・。」
と、酒を指さしている。
山崎「はい。土方副長、どうぞ。」
と湯呑みを渡す。
私は、二人にお酒を注ぐ。
3人「献盃」
土方「おぉ。こりゃ、うめぇ。」
山崎「でしょう?これ、なかなか手に入れられんのですよ!?」
はる「私が、手に入れたんです!」
山崎「そうそう。」
はる「あ・・・。でも、これ、強い酒なので、気をつけてくださ・・・。」
もう、二人は真っ赤になっている。
遅かったか・・・。
すると、酔っ払った二人は、私に絡んできた。
土方「おい!梅!いや・・・。おはる!お前、何で、総司なんだよ・・・。俺は、お前に、惚れてたというより・・・。今も、惚れてる。忘れられねぇ!どうしてくれんだよっ!俺、女々しいじゃねぇか!」
山崎「それを言うなら、俺もですっ!俺なんか、俺なんか、衆道でもええかなって思ったんやで!おなごとわかった時には、もう、沖田組長と・・・。うっ・・・。うっ・・・。」
はる「えぇ!いきなりの告白!?しかも、泣かないで下さい。山崎さん。」
土方「おはる!この俺が、おなごに惚れてるとか、島原のどれだけの女が泣くと思ってんだ!」
山崎「沖田組長と本当の夫婦やないんやったら、順番で恋仲になろか!」
土方「それいい考えだ!」
はる「いやいや。全っ然、良くないです!」
土方「じゃあ、俺から。」
そう言うと、土方副長は、私を押し倒し、接吻をした。
はる「っ!」
強引に唇を開けられ、舌が、滑り込んてきた。
はる「んー!!」
押しても、全然動かない。
ダメだ・・・。
離れたかと思うと、山崎さんにも接吻される。
すると、
「何やってるんですか?」
地を這うような低い声がした。
3人で、声の方を振り向くと・・・。
鬼のような顔の沖田組長が抜刀して立っていた。
土方「何って、接吻だ!」
山崎「そうです。そうです。おはるちゃんの唇も舌も・・・。」
ビュン。
山崎「おわっ・・・。っとと。」
シュン。
土方「おいっ。」
はる「ちょっと!沖田組長!危なっ!」
沖田「おはる・・・。ちょっと待っててね?すぐに、この不貞野郎共を始末するからさっ。」
いや・・・。そんな、目は笑っていないキラッキラの笑顔で言われても・・・。
クルリと、二人に焦点を合わせた沖田組長が、
沖田「二人ともわかってますよね?私の妻にこんな事をするということは・・・。斬られても文句は言えない・・・。」
土方「そうだっけ?」
山崎「だって、好きやねんもん。しゃーない!」
土方「そうそう。」
沖田「まだ言うか・・・。わかりました・・・。」
そう言って、三人の鬼ごっこが始まった。
そして、総司様だけ帰ってきた。
沖田「ただいま。早く、部屋へ戻ろう?風邪引くよ?」
はる「二人はもう、部屋へ?」
それを聞いた、総司様は、黒い笑みを浮かべた。
沖田「豊玉発句集の俳句を実感したいと仰ったので、手伝ってあげました。 『あはら屋に寝て居てさむし春の月』・・・。まぁ、今は冬ですし、屋根もないけどね・・。さぁ!行こう。」
次の日、洗濯の物干しに、二人が干されているのを助けるのは、斎藤組長の仕事となったのだった。