はるのリベンジ
そして・・・。4日。
皆が、呆然と見つめた先・・・。
錦の御旗。
「嘘だろ・・・。俺らは、朝敵かよ・・・。」
私は、この旗を見るのは2回目だ・・・。
一度目は、東行先生と見たんだ・・・。長州征伐に、幕府側がこの錦旗(きんき)を掲げてた。
そして、今回、薩摩軍、長州軍がそれを掲げてる。
私は、2回も、朝敵になった・・・。
近くに土方副長が来て私を抱きしめた。
はる「土方副長・・・。俺は・・・。2回も、朝敵に・・・。」
土方副長は、何も言わず、ギュッと抱きしめる力を強くした。
はる「 これからは、旦那を、全身全霊をかけて支えなさい。彼が、例え間違っていたとしてもお前だけは、味方でいなさい。」
父上の遺言になった言葉・・・。
たとえ朝敵になったとしても、総司様の志はここにある・・・。
その頃には用意した、弾も無くなり、旧式のものと槍や矢などしかなかった。
5日。新政府軍は伏見と淀の中間の千両松に迫った。
監察方はあちこちの情報を得て、報告に集まる。
山崎「井上さんが・・・。」
はる「嘘・・・。」
そして、次々、見方の寝返りで本陣を置いていた城でも裏切られ、対岸から味方に大砲を撃ち込まれもした。
幕府軍:15000人、対、新政府軍:5000人。
近代化された武器を持った新政府軍の勝利だった。
私は、最後の情報集めをして、集合場所へ行く。
はる「あれ?山崎さんがいない・・・。」
嫌な予感がする・・・。
確か、一番、激戦になった所に行ったはず・・・。
私は、走った。
はる「山崎さーん!山崎さーん!」
すると、ピクリと動く物・・・人だ!
駆け寄ると、
はる「山崎さんっ!」
抱き起こしてみると、
お腹を撃たれている。
はる「山崎さんっ!気を確かに持って!!」
短い呼吸をしていた、山崎さんがうっすらと目を開けた。
山崎「梅・・・?」
はる「そうです!今、治療を・・・。」
すると、手を重ねられ、首を振る。
短い呼吸から、少しずつ言葉を発せられる。
耳を近づけると、
山崎「副長・・・。ヘマして・・・。すんません・・って。」
はる「自分で・・謝ってっ・・下さいっ。」
涙で、山崎さんの顔が滲む。
山崎さんは、ニコッと笑い、苦しそうに呻く。
山崎「俺・・・。あんたのこと・・・。ほんまに好きやった・・・。もう一回、接吻を・・・。」
はる「私もっ・・・。山崎さんが大好きですっ!だから・・・っ。だから・・・っ。」
私の頬を力なく撫でて、唇が近寄る。
私はそれを黙って受け入れた。
しばらく、唇が重なると、わたしの頬を包んでいた手がダラリと落ちた。
はる「山崎さん?ヤダ・・・。ヤダッ!ねぇ・・・。起きて下さいよ・・・。起きてっ!山崎さんっ!」
私は、山崎さんの体に触れる。
まだ、微かだけど息がある。
私は、山崎さんをおぶり、集合場所に戻る。
土方「梅!山崎!」
手当てをする。
そして、戻ると大変な事になっていた。
近畿より西の藩のほとんど新政府軍に付いた。
しかも、慶喜公が船で、江戸に逃げてしまったのだ。
私達は、その後を追い、江戸へ行く。
そこで、計画を練り直す予定だ。