はるのリベンジ
明治2年、5月11日。
雪も溶けて、遂に新政府軍が箱根総攻撃を開始した。
不利な状況。でも、土方さんは、降伏は絶対にしなかった。
降伏しても、斬首されるだけ・・・。
土方「おはる・・・。」
はる「え?」
土方さんが私の頬を撫でる。
この目・・・。死を覚悟した目だ・・・。というより、ここ数ヶ月一緒にいてわかった。
土方さんは、死に場所を探している。
土方さんが、話があると言い二人きりになった。
はる「何ですか?」
土方「お前に黙っていた事がある。」
はる「はい・・・。」
土方「お前のお父上を拷問したのは、俺だ。」
何で、今そんな事を言うの?それは、芹沢のせいにしたじゃない!
土方「気づいてたんだろ?」
はる「はい・・・。土方副長の拷問を受けた時に・・・。何故、今、そんな事を言うんですか!?」
土方「俺を殺したかったら殺せ・・・。」
はる「は?」
土方「敵に殺されるなら、お前の仇討ちになった方がお前の気も晴れるじゃねぇのか?それに・・・。ヤヤコもダメにしてしまった・・・。」
はる「ヤヤコ?」
土方「あ・・・。」
私は土方さんの胸ぐらを掴む。
はる「ヤヤコって!?」
土方「お前は・・・。あの拷問のとき、高杉との間の子を孕んでた。でも・・・。拷問でダメになった・・・。」
先生との間にヤヤコ?そんな・・・。
はる「私・・・っ。先生とのヤヤコをダメにしちゃったの・・・?先生との・・・。」
私は、ぺたりと床に崩れ落ちた。
すると、土方さんがしゃがんで、私に短刀を渡す。
土方「刺せ。お前に殺られるなら良い。」
はる「何で、今・・・。何で今言うの!?あの時に言ってくれてたら・・・。確実に刀を抜いてたのに・・・っ。私は・・・。総司様の妻で・・・。あなたの事を守るためにここまで来たのに・・・っ。」
私は、ボロボロと涙を流した。
すると、土方さんがギュッと私を抱きしめて、
土方「おはる・・・。悪かった・・・。」
そう言うと、土方さんは、五稜郭から出て行った。
私は、しばらく、座って放心していた。
フッと我に帰る。
ダメ!私は、あの人を護る為にここまで来たんだ!
私は、部屋を飛び出し最後尾の人を気絶させて、馬を奪って走らせた。
すると、前から、土方さんを狙っている適が見えた。
はる「土方さんっ!危ない!!」
私は馬から、土方さんの馬に飛び乗った。
パンッ。パンッ。
土方さん、助かったかな・・・。