はるのリベンジ
父は、他の家に泊まりに行った。
緊張する・・・。私に出来るだろうか・・・。不安ばかりが、募る。
はる「大丈夫。大丈夫。檀家さんが、私に合う人を選んでくれたって父上も言ってたし・・・。」
ガタッ。
来た!
「すみません。」
男の人の声。
私は、慌てて出る。
はる「お待たせしてすみません。ど・・どうぞ。」
「ありがとう。」
そう言って、殿方は、家に上がる。
「・・・。」
はる「・・・。」
どうすれば・・・。
すると、殿方が、いきなり声を出す。
「あのっ。」
はる「はぃぃぃ。」
声が上擦る。
恥ずかしくて真っ赤になる。
殿方は、笑いながら、
武五郎「俺は、岩谷 武五郎(いわたに たけごろう)と申す。武五郎と呼んで欲しい。」
はる「はい・・・。武五郎様。私は、はると申します。」
武五郎「おはるか・・・。良い名だな。」
はる「あ・・・。ありがとうございます。」
しかし・・・。
武五郎「・・・。」
はる「・・・。」
これは、どうすれば・・・。
沈黙が居たたまれない。
武五郎「あの・・・。」
はる「あの・・・。」
被った!
武五郎「おはる殿から・・・。」
はる「いえ。大した話ではありませんので、武五郎様から・・・。」
武五郎「では、俺から話す。」
意を決したように、武五郎様が、私を真っ直ぐに見つめる。
武五郎「実は、俺は、おなごが苦手というか、怖い。」
はる「へ?」
おなごが苦手?怖い?
だったら何でここへ?
疑問に思っていると、
武五郎様が、フッと笑い、
武五郎「最初の時に怖いと思った。それから、おなごとそういうことをしようとすると、吐き気がする。」
はる「だったら、何故・・・。」
すると、武五郎様は、少し赤くなり、私を見つめる。
はる「え・・・。」
武五郎「おはる殿を見たのは、ひと月くらい前で、その・・・。それから、あなたの事が忘れられないでいた。あなたのことを好いておる。」
はる「っ。」
武五郎「おなごは、怖いが、あなたとなら、いつか、交われる気がする。今、こうして話をしていて思う。今は、無理でも、おはる殿が18になる3年後。俺と、夫婦になってくれないだろうか?」
はる「え・・・。」
あまりにも、唐突過ぎて、次の言葉が出てこない。
やっと、出てきた言葉が、
はる「お願いします。」
だった。
何故、私は、受けてしまったのかわからない。
武五郎様は、優しく笑うと、「ありがとう。」と言った。