はるのリベンジ
そして、私は、平隊士の人と、ある部屋へ行く。
「しばらく、ここの部屋だって。相部屋の人は居ると思うし。適当にやって。」
はる「ありがとうございます。・・・。失礼します。」
そこには、小柄な男性がいた。私より、背は高いが・・・。
はる「あの・・・。初めまして。俺、小川 梅之助と申します。宜しく、お願いします。」
私は頭を下げる。
山崎「えーよ。そんな、かしこまらんで。俺は、山崎 丞。よろしゅうに。」
はる「あ・・・。京の方ですか?」
山崎「いや。大坂。あんたは?」
はる「俺は、長州です。」
山崎「・・・。なるほどな。そういう事か・・・。」
ボソッと言った言葉は聞こえなかった。
山崎「まぁ、俺も、こっちで入隊したから日は浅いし、仲良うしてな。」
はる「はいっ!こちらこそ!」
そうだ!
はる「あの・・・。山崎さん。俺ってどういう立場なんですか?助勤って付いてる役の方が多いと思いまして。」
山崎「小川君は、仮隊士って奴や!」
はる「仮隊士?」
山崎「そう。試練があって、それ、突破した奴だけ、隊士の資格がもらえる。」
はる「へー・・・。」
どんなって、教えてもらえるわけないか・・・。
あ、お土産。
はる「山崎さん。甘いもの好きですか?」
スパーーーーン
沖田「好きです!」
気配無かった。
驚いた・・・。この人も密偵得意なの?
隣で、山崎さんが、はぁ・・・。と溜め息をついている。
私は、お茶を、取りに行く。
密偵のお陰で、この建物内の間取は大体わかる。
何とか入れたけど、試練って何するんだろう?
でも、先生からの教えその2を実行だ。
なるべく、他の隊士と仲良くなる。特に、役付きの人と。
ということは、さっき紹介された、人達だよね・・・。
なるべく、話しかけよう。
そして、部屋に戻ろうとすると、中から、沖田助勤と山崎さんの楽しそうな声がする。
この二人は仲良いのかな?
はる「失礼します。」
部屋に戻り、手作りの団子と金平糖を出す。
すると、沖田助勤が、目をキラキラさせた。
3人「いただきます!」
沖田「ん!美味しい!!」
山崎「うん。美味い!」
はる「ありがとうございます。あの・・・。沖田助勤。先程の事なんですが・・・。あの豊玉発句集は一体・・・。」
すると、山崎さんがお茶を吹いた。
山崎「ブハッ。ゴホッ。ゴホッ。なんで、あんたが、それ知ってんの!?」
私は、山崎さんの背中をさする。
すると、沖田助勤が楽しそうに、先程のことを話した。
すると・・・。
山崎「アハハハハハハ!あ、あかん!腹が、よじれる。アハハハハハ。」
畳を叩きながら大笑い。
私だけ訳が解らずキョトンとしている。
はる「何かおかしい事をしてしまったんでしょうか?」
沖田「ち、違うんだ。ふふふっ。あの豊玉発句集ってのは、土方副長が趣味で詠んでる俳句でね。皆には内緒で詠んでるの。そ、それを梅ちゃんが、皆の前で、出しちゃったもんだから慌てちゃって・・・くくくっ。しかも、機密文書とか、隠し言葉とか挙げ句の果てに、わらし同等のものとか・・・。アハハハハハハ!もう、おかしい!」
スパーーーーン
そこには、鬼が立っていた。
土方「オイッ!誰だよ?他言無用と釘を差した事をペラッペラと喋ってる奴はよぉ・・・。」
沖田「初めに話したのは、梅ちゃんですよ?」
山崎「はい。そうです。」
はる「初めにって、確かに・・・。あ・・・。」
裏切られた!しかも、大きい声出してたのこの二人!
土方「ほぉ?お前か。梅よ・・・。お前・・。梅干しみてぇに、干からびるまで、説教がご所望か?あぁぁ?」
はる「いえっ滅っっ相も御座いませんっっ!」
沖田「はははっ。土方さん。冴えてるじゃないですか。それだと、わらし同等とか言われませんよ。」
はる「なっ。お、沖田助勤!そんな、火に油を・・・。」
土方「総司っっ!うっせぇ!お前!今日の夕餉の支度をしろっ!!」
沖田「えー。めんどくさいですよー。そんなんでカリカリしてるから、わらし同等の句しか詠めないって梅ちゃんに言われるんですよ。」
はる「言ってません!言ってません!」
土方「梅っっ!!!お前も、夕餉の支度だっ!いいなっ!」
スパーーーーン
そう言って、鬼は去っていった。